菅直人と小沢一郎の民主党代表選挙が熾烈な争いになっているようである。この選挙戦が厳しくなるにつれて、選挙後の民主党が更に大きな荷物を背負うことになりかねない。かつての自民党同様に、こうして派閥が形成される怨念の元、権力抗争の元凶になりかねない。
菅が勝利した場合には、小沢派をどれほど取りこむかが問われる。菅が鳩山に脱小沢の現体制に固辞したことを翻意して、どこまで敗北した小沢を納得させるか見ものである。その次第では小沢が党を飛び出すことも十分ある。権力を持つ政権与党は、党を割ることはなく党内抗争をすると言われているが、これまでの行動をも見ていると、小沢にはそうした規格が当てはまらない。
小沢が勝利した場合は深刻な結果になりかねない。意味不明の剛腕小沢に期待する向きもあるが、剛腕は姿勢であるが理念や方向性を持ったものではない。小沢には、かつての「日本改造計画」の政治理念は今はなく、政局に明け暮れた結果、場当たり的な対応になりつぎはぎだらけになってしまっている。この男が政権の運用などできるとは思えない。
党運営に長けているとされることも、結局は不機嫌な顔の恫喝を見せながら、根回しをやってきただけである。都合が悪くなると、雲隠れをしてしまう。東北生まれの訥弁で説明が苦手である。不機嫌が昂じると、得意の根回しで新党を作りかねない。
そもそも、わずか2か月前に退いた鳩山由紀夫と小沢が手を組んで、当時は推薦した菅に対抗するとは、とてもではないが理解しがたいことである。小沢の政治資金の問題は、多分虚構であると思われるが、彼の政治姿勢として角栄手法が見え隠れしていることが、政治家として問われているのである。小沢はそれが解っていない。「何が悪いのだ。法には触れていない」と真剣に思うだけである。
国会議員の動向は、小沢に有利な分析が多いが、世論としては菅が有利な現状と思われる。党員票が左右することになる。いずれにしても、いよいよ民主党が自民党化するターニングポイントの選挙になるものと思われる。