今年は根室のサンマは全くの不漁である。港から直接卸される漁協指定の店にも、サンマがほとんどない。例年なら多少高くてもそろそろ出回るころであ る。海水温が、3度ばかり高いことが影響しているらしい。
ロシアでは熱波で、今年の夏は大変暑いとのことである。あまり暑くて人が死んだりしているようであるが、小麦の収穫が見込めないようである。プーチン首相はこうしたことを受けて、10月まで小麦の輸出を禁止した。国民生活を守るためである。当然の行為である。
ロシアから日本は小麦をほとんど輸入していない。世界市場に出回る小麦の内、ロシア産は11%である。世界市場における位置は小さくはない。小麦の価格の高騰が予測される。日本の小麦の自給率は、僅かに10%程度である。小麦の高騰はパン製造業や製麺業者にとって、痛い出来事である。しかし、実は業者ではなく消費者が、価格ということで思い知らされることになるのである。
日本のように、食料の海外依存率が60%にもなっている先進国はない。食糧は、安価な賃金の国家から輸入すればいいと、国際分業論を唱える人がいるが、食料はそうした輸入依存されるべきではないのである。一般商工業品と異なり、食料は必要不可欠なものだからである。しかも、大量に消費できるものではない。
翻って日本ではおコメが豊作のようである。政府の戸別所得補償制度がどのように機能するのか解らないが、おコメの価格は下がることになるであろう。サンマ漁を見るまでもなく、食料はすべからくこのような天候変動に左右されて、生産されるものである。国民はそうしたことを受け入れなければならない。
食糧を自給しない国家は、国家としての基本を失うものである。食糧はあらゆる意味で、人間生活の基本であり、国民を守る意味でも確保されなければならない。プーチンの輸出禁止は全く当然の行為である。日本を国家として危うくしているのは、国防による安全保障などではなく、食い物に不自由させないことなのである。