高齢者が登録住所にいない。東京都の最高齢者が、30年ほど前に死んでいたことをきっかけにして、自治体が実体の確認に動き出している。親族が、意図的に年金詐取などを目的に、死亡届を出していない犯罪的なものは別にしても、何 時から日本はこんな国になってしまったのだろう。
今日のNHK報道によると、100歳以上で生存が確認されていない人が、57名もいることが解った。とんでもない数字だと思われる。親族が確認できないものから、親族すら知らないと証言するものが出る始末である。
一週間ほど前に、幼い子供を育児放棄して餓死させた若い母親がいた。近所にそれらしいことを確認する機会は少なからずあった。単にプライバシーの過剰は保護ばかりではなく、他人に無関心であることがこうした事態を引き起こしているのであろう。阪神淡路震災の時には、淡路では倒壊した住宅の何処に誰がいるであろうか知っていて、近所の人たちが直ぐに取り組むことができた。都会の神戸では、隣の人すら知らぬままで、救助されずにいた人たちが少なからずいたのと対照的である。
高齢者が疎んじられるような社会では、日本が世界最長寿国になったとばかり喜べるような状態ではない。親族に年金を詐取される実体は少なからずあるものと思われる。仕事がなかったり低収入の者にとって、高齢者の年金は魅力的である。
更に、この数字は100歳を超えたものだけの調査である。例えば80歳以上の高齢者で、死亡届が提出されていない例や、毎年3万人はあるとされる引き取り手のない無縁仏たちの存在も、この中にかなり含まれていることも考えられる。何時から日本は、このような人に無関心で、肉親が支えあわない社会になってしまったのであろう。とても哀しむべきことだと思われる