野党時代の菅直人が、予算委員会などで繰り出す痛快な質疑を聞くのが楽しみ でもあった。言い訳を許さぬ鋭い質問は、閣僚の回答を縮み上がらせていた。それが首相になって受ける側になると、こんない変わってしまうのかと少々情けなく思う。
野党に突っ込まれても受け流し反論しないのは、ねじれてる国会が背景にあることは解らなくもない。しかしながら、このような借りてきた猫のようでは、菅直人らしくない。イラ菅といわれる強気がすっかり失くしてしまって、もじもじ答弁に終始している。
市民民運動からここまで来た菅直人の魅力は、首相になったとたんになくなってしまった。内部論議も根回しも行わず、消費税をぶち上げて失敗したのに、また定数削減をほぼ同様の経緯で打ち出した。この二つは、ほかの政党でも主張しているので、支持をされると思ったのであろうか。余りにも安易で思いつきの域を出ていない軽率な発言である。
野党の自民党の石破茂の、沖縄に限定した追及はほとんど謝罪しているようにも見えたし、こんこんと説教されるようでもあった。鳩山の残した負の遺産ではあるが、普天間基地の移転については日米合意以後の動きは全く示すことができなかった。
知事選後動くとのことであるが、普天間県内移転を容認する知事が出ると思っているのだろうか。与党であるにもかかわらず、全国で唯一参議院選挙では候補すら立てられなかった沖縄に、どのような橋頭保を立てるつもりなのだろうか?
牙をなくして、防戦一方の菅直人を見ていると、この政権はあと何年持つのか不安になってきた。