普天間基地などの移転に関する、日本政府とアメリカの裏取引が、ウィキリークスで暴露された。朝日新聞が5月4日、「米軍グアム移転水増し」と報道している。ウィキリークス資料7000点を、朝日新聞が解析したとのことである。
2006年に日米両政府が、グアム移転のロードマップでアメリカが水増し請求を日本に示したとのことである。、これを受けてに日本政府は。水増し部分を減らす。結果として負担を減らしているように、内外に見せかけることが出来た。海兵隊の移転人数についても、削減が見えやすいように実態より多い人数が報告されている。その当時は家族も含めた人数であったとか、政府は返答しているが、結果的には同じことである。
つまり、グアム移転は相当厄介なことのように見せかけて、野党や沖縄国民の要求を受け入れたかのように装っていたのである。世論を欺いていたことになる。日米共同謀議で世論操作である。
在京大使館は本国に対して、日本と交渉し易いように水増しの数字を出したこと、それに対してこの数字が実体をかけ離れた数字であることは、日本政府も認識していたと言うのだからあきれるばかりである。これが現行案を生みだす元になっている。
もっと驚いたのは、当時の小池百合子防衛大臣が仲井真沖縄県知事に対して、アセス後であれば滑走路を沖合に50メートル移転することと密かに約束していたことである。更に、小池氏は「2009年までには政権交代が起きていて、我々が彼に対してどんな約束をしても問題にならない」と発言している。
政権交代を見越して、嘘の交渉をしてもかまわないと言うのである。こんなことが許されるのだろうか?
政権交代後も、普天間基地の移転に関しては、民主党の関係者や官僚は嘘とペテンの交渉に明け暮れていたと言うのであるから、驚きである。当時を振り返ると頷ける内容のものばかりである。
岡田外相の「政権に就けばアメリカとの交渉、対話で取り組む」言ったことが実質的に遂行されてきた。鳩山の「最低でも県外」は形骸化した、形だけのものとして交渉されてきた。
前原誠司も薮中三十二も、06年の再編合意(現行自民党案)に立ち戻ることを明言し、鳩山も認めていたというのである。
この間に、外務省官僚は政権に従うそぶりを見せながらも、現行案を勧める『面従腹背』に徹していたのである。官僚はアメリカに対して、民主党政権に過度の妥協すると、合意済みの現行案を譲歩する意志に見えるから止めるように忠告している。
つまり、普天間基地移転に対して、民主党は迷走などしていたのではなく、「現行案」に至る時間稼ぎをしていたに過ぎないのである。
この交渉の経緯を見ると、国民の姿は全くなく基地の存続そのものを問うような検討も交渉も意見集約も、全くなされていなかったことが解る。自民党案への戻るタイミングをはかっていただけである。
ウィキリークスの資料について、北澤防衛大臣は「不正に獲得されたものについてコメントはしない」と発言している。民主党政権は、自民党の交渉内容を認め追認したのである。
見せかけの数字で交渉した自民党はもちろん、選挙で虚偽の意志を示した民主党も、沖縄県民と日本国民を裏切ったことになる。彼らを国会で追及する政党が殆ど存在しない現状は、日本の不幸であると言える。