さすがにのこの頃は「直ちに影響ない」とい言葉を、枝野官房長官をはじめとする関係者の発言が少なくなった。放射能の恐ろしさは、直ちになどではなく、「晩発性」にあることを知ったためか。
「晩発性」とは、かなり遅れて影響が見られることである。しかもその影響の結果が一定ではない。遺伝子に直接かかわるからである。
チェルノブイリは、旧ソビエトで発生した事故である。ソビエト崩壊の引き金にもなったチェルノブイリ事故であるが、後に独立したウクライナ共和国の一地区となった。
ウクライナとなってから20年経つ。独立当時は人口5200万人であったが、現在は4500万人にまで減少した。700万人は何処に消えた?
勿論放射能汚染を案じて出国した人たちも大勢いたであろう。しかし、700万人の極めて一部としか思えない。
問題は、平均寿命が物語っている。かつては75歳であったが、数年後には55歳ほどになると言うのである。
人口減少は、放射能の影響を恐れて子どもを、欲しがらなかったことも大きいかもしれないとする評価もある。しかし、平均寿命の極端な低下は、このことを否定している。
結果として最も可能性のあるのは、放射能による寿命の低下とそれに伴う、人口減少である。晩発性の病気は多様である。チェルノブイリでも、癌の発生が多いとか白血病が多いとか報告がある。
はっきりしている小児性の甲状腺癌以外は、医学的には因果関係としては、証明はされていない。何しろ、晩発性で病気の種類も様々であるから、個人の死因の疫学的因果関係の究明、特定は困難である。
チェルノブイリでは、40世代を重ねたネズミは遺伝子の崩壊を修復する能力が極めて高いが、鳥は2世代は続かないとのことである。
人の場合は、せいぜい3世代経過した程度であるし、個体差やまだら汚染による地域差がかなりあるように思われる。こうした大きな桝でで捉えると、全体が見えてくる。放射能の影響を30年後に評価するよりも、出さないことの方が圧倒的に正しい選択である。
福島原発事故では、政府が発表した放射能汚染に比べて、民間の長年携わってきた研究者の調査は、これを大きく上回る結果が出ている。
NHKの放送が反響を呼び、再々放送が28日土曜日午後3時から放送される。是非ご覧になって、恐怖を体験していただきたいものである。