第3回米中戦略経済対話が、ワシントンで開かれ10日終了した。とても大きな問題であるが、震災報道一辺倒の日本ではほとんど扱われていない。
GDP世界1、2の対話である。日本が2位の時はアメリカべったりでほとんど、2国間の話し合いは問題でなかった。アメリカが何を考えているかだけが問題の、2国間会議であったか らである。
13億の人口を抱える中国が、2位になったことの意味は大きい。3000年の歴史は、彼らにもう一つの誇りを与え、アメリカの言いなりにはならず、国益を主張して平然と対立を行うからである。
この会議は、経済対話であるが、実質的にG2と呼ぶに相応しくなってきた。
今回問題になったのは、●人民元の改革 ●人権問題 ●中国の急速な軍事増強である。
人民元は、中国側の「人民元相場の弾力的運営化を進める」と言う言葉で締めくくられた。中国の意向通りと言える。
人権問題も、アメリカ民主党政権の最も重要な課題でもあったはずである。中国側の「政治問題」の壁はそのままであった。民族問題や政治犯や思想弾圧などなにも切り込めなかった。
中東や北アフリカで進む民主化運動に、神経をとがらせる中国の反発が強かった。北朝鮮問題を抱え、アメリカはここでも切り込むことが出来なかった。
軍事増強は、領土問題やステルス機開発や航空母艦の製造にも、懸念を表明したに過ぎない。そんな中、アジア太平洋の米中安全保障対話の新設は、米中対立の抑止効果を見込め、ほとんど唯一の成果と言える。
総じて、従来通り経済発展著しい中国の恩恵を、アメリカが期待し実際に受けている現状では、中国にほとんど注文は付けることが出来なかったといえる。
今やアメリカは、日本とは頭越しに中国と関係を持つようになった。これを進めたのは、アジア重視を打ち出した鳩山由紀夫である。それはそれでいいのであるが、民主党はその後打ち上げた理念を、放置してしまった。震災のためではない。菅に理念がなく、アメリカべったりを打ちだしてしたが、時すでに遅しの感がある。