ビンラディン襲撃暗殺の報道の文章が一律でない。殺害、死亡が多いが、当然のことであるが暗殺の文字はない。殺害もほとんどない。実体は暗殺と呼ぶに相応しい。
今回とったアメリカの行動には、法的な問題が残る。アメリカは、ブッシュが都合よく『戦争』と呼んでみたり『テロとの戦い』と使い分けて、彼らにせん滅作戦を行ってきた。
戦争なら投降した人物は兵士であるから、ジュネーブ条約に沿った扱いをしなくてはならない。テロなら、兵士ではなく犯罪者であるから、国内法に沿った扱いと法的な処分が待っている。ハズである。
アメリカはアルカイダに宣戦布告したこともなければ、国家として戦った経緯もない。そうなるとビンラディンは、捕捉して裁判にかけなければならないはずである。日本の報道の多くは、ビンらディン“容疑者”と呼んでいる。
ビンラディン容疑者は、9.11の実行犯でもなければ、犯行声明を出したわけでもない。仮に計画をしていたとしても、アメリカは法治国家であれば、そのことは法廷で証明しなければならない。
今回の行為で、アメリカはビンラディンの殺害を命じていたフシが強い。文明国家の行う作戦ではなく、無法者の行う行為である。通常の的確な言語で表現すれば“テロ”と呼ばれる行為と言える。
主権国の、パキスタンの法律は何処にあったのだろう。パキスタン政府は、主権を侵害する行為と批難している。当然である。厚顔にもアメリカは、パキスタン政府に調査協力を依頼している。
パキスタン国民は、このことに極 めて強い反発を表している。BBC放送では、50名中49名が、アメリカ報道を信用していない。さらに、ビンラディン支持者たちから、複数の報復宣言がだされている。
イスラム教徒が最も嫌う、水葬を行ったのも反発材料となっている。実際は海に遺体を捨てたのであろうが、イスラムの教えに沿って、読経でもしてればと思われたがそれもない。イスラムたちの反発を期待するような行為と言える。
アメリカは、安全が進んだとするオバマの発表とは逆に、危険が増した感がある。オバマは、大統領選挙を控え、アメリカ国民のナショナリズムを喚起する、人気回復を狙ったのであろう。