今年は、国際家族農業年(IYFF2014)である。飢餓の根絶と天然資源の保全において、家族農業が大きな可能性を有していることを強調するため、2014年を国際家族農業年と定めたのである。
当然国連加盟国は、この事業を推進しなければならない。世界の食料安定と、環境保全のために日本も取り組むべきである。
ところが、現安倍政権の農業政策は、所得倍増計画だの攻めの農業だ
の6次化などと、規模拡大と経済効率の追求政策しか行っていない。むしろ、家族農業を追放する政策に見える。
挙句の果ては、TPPという無関税システムに農業を投げ込んで、経済効率・労働生産性ばかりを追求する始末である。国連の提案に相反する政策であるといえる。
すでに効率優先の大型農業の現場から、農民がいなくなっている。農作業をする、雇われ作業員ばかりである。
グラジアノ・ダ・シルバFAO事務局長は、「家族農業以外に持続可能
な食料生産のパラダイムに近い存在はない。通常、家族農家とは、特化しない多様な農業活動によって環境と生物多様性を持続的に保全する上で、中心的な役割となっている農業を意味する」と述べている。
さらに各国は、「家族農家の生産性向上を支援する技術支援と方針を提供すること、適切な技術に農民達がアクセスできるようにすること、農民達が土地や水、クレジットや市場へのアクセスできるように改善すること、そして、更なる投資を可能にする環境の構築が含まれる」と付言した。
現在日本の農村では、規模拡大すれば優先的に政府の支援を得ることができる。規模拡大するためには、新たな機械や施設の拡大や資金が必要になる。農業支援に名を借りた、周辺産業に金が下りるシステムである。
日本政府も農協も、地域の振興を模索する自治体も、こうした機能的で伝統的な家族農業、漁業、林業を守る責務がある。
アベノミックスはこうしたことの放棄であり、TPP参入は自殺行為と言える。