そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

日本の農村はさらに荒廃する

2009-07-14 | 政治と金

6月17日に参議院で「改正農地法」が可決されていた。海賊法や臓器移植法の陰に隠れて、どこの報道もほとんどないまま、可決されていた。農業関係のサイトの多くに目を通しているが、気がつかなかった。報道はあったのかもしれないが、極めて小さな扱いだったことは事実である。審議時間は僅か17時間であった。

今回の改正「農地法」は、従来は耕作者自らが所有することが望ましいとしてきたが、農地を「効率的」に利用できるものにも開放したのである。また農地の借用についても、賃貸の権利に係わる規制をほとんどなくした。だれでもいつでもどこでも借りることができるようにしたのである。

これは戦後最大の農地の大転換である。地方が疲弊して、農業の担い手の高齢化が止まるところを知らない状態である。国内の食料自給率は僅か40%程度である。

今回の農地法の改正は明らかに、企業の参入を推進するものである。農地を所有するものから、利用できるものへと転換したのである。これで農地は生産効率優先の、企業が参入することになる。しかも、ある程度の収益が上がると、さらに大きな資本が投入され大企業の参入となる。逆に収益が上がらないようだと、素早く撤退をすることになる。

農業が土地を利用し太陽の恵みを受けることによる生産形態である以上、軽々しく短期的な判断基準を導入するべきではない。農地が地域の環境、とりわけ水資源に大きくかかわることを考えると、企業の参入は規制を加えるのは当然である。農地を所有するものの耕作を原則としていたのは、ある意味責任を持たせることでもある。

担い手の高齢化、減少、さらには生産量の下落、食糧としての質の低下を考えると企業の参入はある程度の容認しなければならないと思われるが、今回の改正は賃貸についても基準小作料を撤廃し、全くのフリーにしてしまった。

審議会で、反対を表明したのは共産党の紙智子氏だけである。民主党の高橋千秋氏は総論的な注文をつけてはいるが、全体としてやむを得ないとの内容で反対しているわけではない。

今回の農地法の改正で、農産物価格が低迷し日本の農業はさらに追い込まれることになる。さらに、平気で農地を放棄する企業が続出し、環境の破壊につながることになる。長年日本の農村を見てきたが、農業に参入した企業で10年以上生産しているものを私は見たことがない。

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集団自決の日が決まった?

2009-07-13 | 政治と金

090713 東京都議会選挙が、民主党の圧勝で終わった。勝ったのはもう一つ、公明党である。公明党は候補者全員を当選させた。敗北したのは、自民党と共産党それに社民党である。

麻生自民党総裁は、この結果に何の反省もコメントも出していない。国政とは違うと言うばかりであるが、応援演説に行ったのに何を血迷う発言かと思うが、この男はこの程度であろう。政権投げ出しボッチャマと違って、周辺状況とは関係なく辞めたくない。これまた立派なオボッチャマの、駄々っ子ぶりである。

そのアホー首相は(田中真紀子はヒョットコ首相と呼んでいる)、7月21日以降に解散をして8月30日を投票日にすると、与党に通知したと言った。本当か。現内閣は、実質与謝野政権と言われているが、その与謝野大臣は解散に署名しないようである。アホー下ろしも相当現実的な状況である。

今回の総選挙で自民党は野党に転落するのは確実であるが、その集団自決日を8月30日に決めたが、これも怪しい雲行きである。アホーで選挙をしてもらいたい野党は、不信任案や問責決議案をだすようである。これを否決した自民党員は、アホー下ろしができないだろうとの読みである。

自民党が議院運営員会の開催を、アホーに要請している。地方選挙連敗について、党員への説明がないとのことである。片方では総裁選挙に向けての署名も、かなり集まったようである。各派閥の重鎮や大臣経験者たちは、みすみす負ける選挙の対応の密会を繰り返している。政治は一寸先は闇だと言われるが、アホーのスケジュールは、実行されるかどうか不透明である。

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ヒナを殺してしまった

2009-07-12 | 政治と金

090705_1タンチョウのひながビッコを引いていると連絡が入った。駆けつけてみると、右足を引きずりながら逃げてゆく。もちろん私を敵だと思っているのである。

タンチョウの親たちは、警戒恩を懸命に出している。うるさくて近寄れない。穴に落ちたヒナであったが、何とか逃げられるようであった。双眼鏡で見ても、傷らしいのもないし指などの欠損もない。捻挫程度だと判断した。

090705_2ヒナは何といっても親が面倒をみるのが一番である。保護するためにはもう少し経過を見てからの方がいいと判断した。

翌日はなんとか昨日より逃げるのが早いように思えた。私たちを見て何処かに隠090706_4trimれたようだ。親鳥が盛んに一番草を収穫したあとを探していた。

そこでもう一日様子を見ると判断したのであるが、ビッコを見つけて3日目に死亡し ているのが確認された。残念でならない。初日に保護していれば助けられた例である。

野生生物は死の直前まであらん限りを尽くして生きる。そのためにこちらは好転したと判断してしてしまったのであるが、大いに反省すべきことであった。それにしても、確保して保護するのも難しいものである。大いに反省した例である。

左のフォトアルバムに<西別岳の花たち>をアップしました。

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むのたけじの言葉

2009-07-11 | 政治と金

Photo むのたけじ93歳(昨年)のインタビューの書である。戦前報知、朝日新聞社に勤め、多くの政治家に接している。従軍記者として中国インドネシアなどに取材して、戦争を直接取材している。終戦とともに、報道陣としての深い反省の下に退社し、秋田で週刊新聞「たいまつ」を発行する。一貫して戦争反対を訴えている。たいまつは30年続けられ休刊からも30年経つ。

1950年2月に衆議院で反軍演説を行った、斉藤隆夫にむのは取材している。衆議院は彼を懲罰委員会にかけ除名した。その年に、政党がなくなり大使翼賛会が結成された、戦争へと突き進むのである。歴史は繰り返されているように思えると言う。

この本で、桐生悠々という人物を知った。「他山の石」という、タブロイド紙を発行し5・15事件で軍部を真っ先に批判し、28回にわたって発行禁止を受けているた。戦時中でも戦争をしっかりと批判していた人物がいた。

日本は戦争責任の所在をいまだ明快にしていない。特に日中戦争時に、多くの決断をした人たちの責任はまるで問われていない。裁かれることのない人たちに、加害者であることへの罪悪感はないままである。

憲法が公布されたが、平和への道しるべであると同時に、軍国主義の死刑判決であった。小泉内閣が、戦争を「有事」言い換え、あるいは安倍内閣では憲法改正を明確に打ち出した。戦争反対や世界平和を憲法に持っている国は世界に、38か国もある。

人類が地上に登場して、700万年ほどになるが、戦争をするようになったのは、富を蓄えるようになった僅か6千年でしかない。さらに、核兵器はその気になれば廃絶できる。老人を“愚老”する日本を告発する。

最後に、「絶望のなかに希望はある」と励ましてくれる。数々の日本の転換点を見てきた、古老の言葉には重いものがある。淡々とむのやけじが語る良書である。

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責任を問われない大事故

2009-07-09 | 政治と金

Photo 福知山線の尼崎脱線事故に神戸検察が起訴した。JR西日本社長の山崎正夫を、業務上過失傷害罪で起訴をしたのである。会社のトップが起訴されたのではない。事故当時の安全対策の最高責任者であった、山本正夫を起訴したのである。運転手は被疑者死亡で不起訴にした。

この事故は、だれが見てもおかしな事故であった。周辺の私鉄との過激な時間競争が背景にあったのははっきりしている。スピードを落とす、尼崎駅に近づく辺りのカーブをなくし、スピードが出るその間に曲線を設けたのである。

職員は過当競争の教育を受けていた。「日勤教育」で、僅か数秒の遅れをなくすために社員を追いこんでいた。過密ダイヤと過酷な運転の強要である。この日も前の駅で20秒ほどの遅れを取り戻すために、若い運転手は急いだのであると思われている。

国鉄を民営化したのは、中曽根康弘である。国鉄が日本の復興に果たした役割は大きいものがある。満洲からの引揚者を職員として最も多く雇用したのも国鉄であるし、地方の産業復興を支えたのも全国に張り巡らした国鉄の鉄路であった。

文字通り国の鉄道として成し遂げてきた、国鉄の役割を評価することなく、民営化したのである。一つは労働組合対策として、もう一つは新自由主義者の中曽根の理念に基づいて、国鉄の民営化がなされた。

民営化されたJRが、近隣の私鉄や輸送会社との過酷な競争を職員に強いる結果になったのは、至極当然のことである。

会社全体が取り組むことになった競争は、今回起訴した一運転手や安全責任者の問題ではないはずである。会社全体が、安全より競争、社会的責任より収益を重んじたのである。この事故の責任者は、これに係わった会社のトップが運営方針の在り方として、問われるべき性質のものである。

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G8では何も決まらない

2009-07-08 | G8

G8 先進国首脳会議が始まって20年を超えるが、当初は確かにG7と言われる国々は世界経済を牛耳っていた。日本も唯一の東洋からの参加と、まるで他国を見下すようで貴族のようにふるまう国々の集まりであった。2年以内には確実に日本を追い越す中国に象徴されるように、世界は確実に多極化している。G8だけでは何もできない状況である。

仕方なく、拡大す形で多くの国を招き入れている。それでもG8を崩さないのは、単なるおごりで090707002 ないのか。食料問題や地球温暖化について語るようであるが、いずれもG8以外の国の存在の方が断然意味が大きい。

今年はイタリアで開催される。地震の被災地での開催は、女好きのイタリア首相が決めたことである。刑務所の中で行うらしいが、新疆の暴動発生で、チベット民族の弾圧で出世した胡錦濤は取るものも散りあえず帰国した。そちらの方が大切なのだろう。

唯一、先進国の話し合いで現実味を持つと思われるのが、核軍縮問題である。とりわけ、世界090707001 のほぼ9割を有する、アメリカとロシアの話し合いがG8直前に、MD問題を残したと言え話し合われたことは大きい。今年中に結論を出すとしている。

核兵器の廃絶はぜひとも達成願いたいところではあるが、当面は相当の軍縮でも構わない。これまでのようにすでに核を有する5カ国については触れず、新たな拡散を止めさす論理は通用しない。米ロが核軍縮で具体的に動いたことは大きい。

イランの核開発の評価は、アメリカのMD(ミサイル防衛)に影を落としているが、グルジアや中国の民族問題にだんまりを決め込んでいる、オバマは何と形だけは作ることだろう。

いずれにしても、自らを「先進国」と位置づける会議には、サロン的な意味しかなくなっているように思える。ブッシュが壊してしまった国連に権威を戻させ、多くの国々が均等な資格を持ち、話し合えるようにできないものだろうか。

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ウイグルに自由を

2009-07-07 | 政治と金

Riot090707002  中国の新疆ウイグル自治区で、また暴動が起きている。州都ウルムチは草原にできた小さなウイグル人の町であった。1955年に中国が、ウイグル地区を併合させてからは、自治の名前は残ってはいるが、実質中国の漢民族の支配下になっている。

新疆地域には、12ほどの民族が住んでいる。ウルムチに限らず、町の中心地域には東の平原地区からやってきた漢族が占拠している。町の経済、政治、自治などのあらゆる権利を占拠しRiot090707001 ている。町をドーナツ状にウイグル人たちが、囲む形になっている。最近は高層ビルが立ち並び、郊外との格差が一層激しくなっている。

ウイグル族は温厚な民族である。他のイスラム圏の人たちに比べて、争い事などあまりない。中国政府は報道陣に開放しているとするが、インターネットや国際電話を遮断してのことであって、とても解放された報道とは思えない。それでもネットでの動画を見る限り、チベットと同様に組織的に動いていない。サミットを見ての行動かもしれないが、自然発生的な感が強い。

Riot090707003中国の国旗は五星紅旗とよばれているが、一つの星がやけに大きく他の星を圧倒していることが解る。アメリカやEUの旗の星のように、どんな小さな国でも民族でも同じに扱う思想そのものが、中国にはないのである。漢民族は「中華」なのである。漢族は文化や歴史などすべてにおいて、中心でなければならないとするのが「中華思想」なのである。

経済発展の著しい中国にとって、天然ガスや石油それに希少金属の埋蔵が確認されている、新疆地域は何としても手放せない。チベットと同様に、阿藤的な暴力で今回も抑え込まれることになるであろう。それは中国の奢った優越主義、同化政策に他ならない。

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竹内行夫にノーと言おう

2009-07-06 | 政治と金

麻生太郎は唯一の存在価値である、解散権を行使できずにいる。人事すら執行できない。哀れな自民党総裁であるが、民主党が分裂選挙になったにもかかわらず、勝てなかった静岡知事選に続いて、東京都議会選挙も敗北する。

そこで麻生は、こんな現状では選挙などできない。片方で麻生下ろしが始まるかもしれないが、下Photo ろす方も有効な手立てと人材がない。結局はズルズルと任期いっぱいまで行って、総選挙になることになる。

さて、その総選挙であるが、同時に最高裁判事の国民審査が行われる。ここに重大な戦争犯罪者がいることを多くの人が知らされていない。竹内行夫である。

竹内行夫は、小泉政権時代に外務省事務次官であった。竹内行夫こそが、小泉純一郎にイラク派兵を進言した人物である。今では、当事者のイギリス政府もアメリカ政府でさえ、イラク侵攻の過ちを認めている。我が国は、アメリカが判断したことだからだと、いまだに反省すらしていない。

ありったけの欺瞞と虚偽の報告に基づいた戦争であったのに、日本はいまだに非を認めていない。小泉が真っ先にアメリカのイラク侵攻を支持したのは、国際法学者でもある竹内行夫の存在が大きく、自衛隊派兵も同様である。

その当時、レバノン日本国大使を務めていて、日本のイラク戦争加担を強力に反対した天木直人を、竹内行夫はそれを理由に、首にしている。天木は盛んにそのことを訴えている。http://www.amakiblog.com/blog/

その戦争犯罪人竹内行夫を最高裁判事に登用したのが、麻生太郎である。昨年10月のことである。総選挙と同時に行われる、最高裁判事の国民審査で「竹内行夫」を否認しよう。

竹内行夫は、日本国憲法を蹂躙した、れっきとした戦争犯罪者である。名古屋高裁は、自衛隊のイラク派兵をはっきりと違憲判決を出している。我々が戦争犯罪を裁ける絶好の機会である。自民党に投票しても、公明党を支持してもかまわない。最高裁判事の国民審査で「竹内行夫」を否認しよう。この男は戦争犯罪人だからである。

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日露平和公園構想をご存知でしょうか

2009-07-05 | 政治と金

北海道の知床半島が、世界遺産に指定されて4年経つ。ひと時はブームのようなものがあってかなり観光客も増えた。関係者は大喜びであるが、これは本来の趣旨ではないはずである。最近は、不況もあって観光客は減少しているようである。

090704_26知床が世界遺産に選ばれた大きな点は、海と山のつながりである。流氷がこれに大きく関わっている。知床半島は流氷の南限地域である。しかし、それより北に連なる千島列島も類似の条件を持っている。そこで、知床半島の世界遺産の認定地域を拡大してはどうかというのが、 「日露平和公園」構想である。しかしここには大きな問題が立ち塞がっている。言わずと知れた北方領土の領有権である。

平和公園構想は、日本地域からは知床半島を、ロシア地域からはウルップ島をいれ、その間に北方四島を含めるのである。環境にも野生生物にも国境などない。同じ環境の一部分だけを世界遺産に指定しても意味がない。それを真剣に提案している団体がある。http://www.sea-otter.org/index.html

少し前までは、北方領土は戻ってこない方が自然が保護される。漁業資源が守られるといわれていた。が、ソビエトの崩壊以後一旦は経済的に窮地に陥った北方領土地域は、プーチンバブルで事情は全く異なってきた。

ロシアの辺境の地も開発が急に進み、漁業資源もほとんど規制などない乱獲で、日本などに輸出されるようになってきた。このままだと、日本と同じ状況になるかもしれない。むしろ開発を望んでいる地域にとってはずっと待ち望んできたことであり、歓迎させるべきことなのである。このままでは、日本と同じ状況に落ちってしまう。090704_1

こうしたことを背景に打ち出された「日露平和公園」構想は、国境などない野生生物にも自然環境にとっても全く新たな視点を持った、救済策になるものと思われる。昨日提唱者の一人の、毎日新聞の本間記者の講演を聞いた。夢で終わらせたくないとの熱い思いが伝わってきた。

合わせて「知床・北方四島」大泰司紀之、本間浩明共著岩波新書1,000円+税。写真も豊富な本も併せて読むと一層興味深い。

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IAEA事務局長に日本の天野氏

2009-07-03 | 政治と金

IAEA(国際原子力機関)の理事長に日本の天野之弥氏が選出された、今回は3回の投票の結Iaea003 果であるが、3月からエルバラダイ氏の後任の選出に、かなりもめた結果である。何はともあれ、日本人が事務局長に選出されたことは、高く評価されていいのでないかと思う。広島の秋葉市長がいち早くコメントしたのは素晴らしいことである。

しかしながら、選出された天野氏は「唯一の被爆国の日本として核兵器の拡散に全力を尽くす」と所信を述べている。この時は、核兵器に廃絶とは言わなかった。

また「非核三原則」を掲げる国家としての、日本の評価も高い。しかしながら、非核三原則の持たない、作らない、持ち込まないのうち持ち込まないは反故にされていることがはっきりしている。佐藤栄作は非核三原則でノウベル平和賞を貰ったが、選出した側は今も悔やんでいると聞 く。そして現職の閣僚はもちろん首相でさえ、核の所有を口走る現状にある。

また、我が国の原子力発電は平和利用の象徴のように扱われているが、半年ほどあれば120Iaea090703_2 発の核弾頭を造れる、技術も財力も日本が持っていることを世界は知っている。

こうした平和に対する日本の評価にもどかしく感じるのは、「わが国には平和憲法があります」だからどの国よりも、IAEAの事務局を担うのにふさわしい国家であると、だれも言わないことである。

日本は再軍備を目指したい、核兵器を持ちたい、平和憲法を廃棄したいと、政府自身が模索する現状にある。本来の日本の特性を主張することなく、もうすでに反故になっている、非核三原則を持ち出してもお笑いである。唯一の被爆国家であると訴えるのがせいぜいである。

オバマが核兵器の廃絶を訴えた。NPTも眠りから覚めたように来年の3月に向けて具体的に動き出した。オバマの提案を、イギリスもロシアも受け入れている。こうした前向きの情勢もあるが、北朝鮮やイランの核開発が止むところがない。それに紛争を抱えるイスラエルや、テロリストの温床となっているパキスタンの核兵器の存在も不気味である。

平和憲法を持ち軍隊のない国家日本の天野新事務局長の、今後の手腕を期待したいところである。

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イランはどうなる

2009-07-02 | イスラム

Photo イランが大統領選挙の結果を巡って混乱が起きている。事前の予想では伯仲すると見られていたが、開票結果ではアフマディネジャド大統領の圧勝と発表された。不審な開票速報など大いに疑問のあるところである。

改革派と言われている。ムサビ元首相を支援する人たちのデモが弾圧される動画がネットを通じて世界に発信されている。イランのイスラム体制は国会の上に、宗教上の最高指導者を位置づけている。

これまでは最高指導者は、どちらにも顔を立てる立場をとるものであった。ところが今回、ハメネイ師は選挙結果を支持するばかりでなく、アフマディネジャドと思想的にも近いと発表したのである。ムサビを支持する改革派は、ハメネイ師を非難し始めた。これまでなかったことである。

イスラムの教えを重視するアフマディネジャド大統領たちは、反アメリカの立場をとる。79年のホメイニ革命以前のイランでは、西欧化への反発でもあった。しかし、国民の半数以上が革命Img_0941 後の世代となた現在、再び民主化、改革への動きが急である。とりわけ都市部や知識人層の多くがムサビ支持に回っている。

国家評議会の選挙結果の一部再調査などを行い、選挙結果に問題はなかったと発表した。ハメネイ師の保守派指示に次ぐ大きな痛手を改革派は被ったことになる。改革派を中心とする、国民の不満はやり場がなくなった格好である。

これで当分の間は、保守派の強硬な武力などをもちいた弾圧もいっそう強くなるであろう。イランは当分の間混迷する事態になるであろう。中東では唯一単一民族国家といえるイランの動きは大きい。

国際的には、イランの石油を最も多く輸入している中国が、いち早く選挙結果の支持を打ち出している。これに対し、いったんはイラン国民の問題であると静観を打ち出したオバマは、デモの動きと武力弾圧に対して抗議声明を出した。

これに先立つ、オバマのカイロ演説は、イスラム国家を一旦遠ざけたところから対話を求めた、従来のアメリカの視点を大きく転換させるものであった。多くのイスラム国家は驚いた。オバマ演説が実効を見せ始めるか、核問題も抱えるイラン対策はその格好の試金石と言える。

フォトアルバムに<羅臼の小さな山>アップしました。

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イラクは変わるか

2009-07-01 | イラク

アメリカ軍がイラクの都市部から撤退した。現在13万人のアメリカ兵が退いたわけではないが、来年8月末には戦闘部隊が撤退することになっている。オバマの計画は当面は実行されるUs_combat_troops_withdraw_from_iraq だろうが、スケジュール通りになる保証はない。

フセインが嫌ったアルカイダが、アフガニスタンにシフトするアメリカ軍へのけん制のためのテロ行為がここに来て活発になっている。イラク軍や警察の治安能力が疑問視されている。

アメリカ撤退後のイラクが抱える最大の問題は、フセインが抑え込んでいた民族対立と宗派抗争である。アメリカの侵攻を最も歓迎したのはクルド人である。今や自治どころではなく、石油のUs_combat_troops_withdraw_from_ir_2 輸 出まで行っている。逆の民族浄化が起きているくらいである。

ブッシュのバクダッドでの最後の記者会見で靴を投げつけた記者が英雄視されるように、イラクはアメリカ軍の撤退を歓迎はしている。他国の軍隊の駐留を望む国家などない。アメリカがフセインを倒した後の国家建設はいかにも手荒いものがある。しかしながら、それゆえアメリカの武力が一定の効果を持っていたことも事実である。イラク国民は喜びと不安が交叉する。

中東は第1次大戦後はヨーロッパ諸国が、第2次大戦後はアメリカそしてイスラエルが勝手気まUs_combat_troops_withdraw_from_ir_3 まに蹂躙してきた。そもそも“中東”という呼び名にしてもヨーロッパ視点であるし、国家の建設も欧米が思いのまま行ってきた結果の現状である。そこに今度はヨーロッパ型民主主義を定着させようとするのである。

イスラム国家が歩んできた歴史と伝統には、民主主義はもとより欧米文化とは相いれない側面がかなりある。普段でも大義があれば平気でうそをつくし、人のものを自分のものにする。一般人でもそれを悪いこととは思ってもいない。宗教間の対立も、欧米が際立たせたものである。彼らには長年培ってきた解決方法があるのである。

民族対立も宗派抗争もバックを失ったマリキには到底なしえない難題である。イラクは石油に依存することなく、自らを変える力をどこまで持つことができるかが最大の問題である。

左に<羅臼の小さな山>をアップしました。

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羅臼港

春誓い羅臼港