大西若人「主役を演じるのは誰?」(「朝日新聞」2011年04月13日夕刊)
大西若人の文章には不思議な力がある。ほとんど「大西マジック」としかいいようがない。「主役を演じるのは誰?」はレンブラントの「アトリエの画家」について書いたものである。紙面の大半を占める絵を見る。中央の、カンバスの左側の強い光、強い反射光に目が行く――と同時に、大西の書いている文章の最後の方の文字が目に飛び込んでくる。
あ、もう絵を見ている感覚がなくなる。大西の視線にのみこまれ、大西になって絵を見てしまう。そこから離れるのは、とても難しい。
で、いつのながらの、意地悪な疑問がわいてしまう。「主役は誰?」 大西の文章? レンブラントの絵でなくていいの?
うーん。
しかし、大西の文章が好きだなあ。
欲を言うと・・・。
今回の文章は少しだけ変だった。新聞紙面の組み方の問題だが、段落ごとの空白が少なく、ぎっしり詰まっている。それが文章全体を窮屈に見せる。漢字とひらがなのバランスが美しいのが大西の文章の特徴だが、その特徴が生かされていない。大西以外のひとの視線(国立西洋美術館の幸福輝の意見)が挿入されていることも遠因かもしれないが。
大西若人の文章には不思議な力がある。ほとんど「大西マジック」としかいいようがない。「主役を演じるのは誰?」はレンブラントの「アトリエの画家」について書いたものである。紙面の大半を占める絵を見る。中央の、カンバスの左側の強い光、強い反射光に目が行く――と同時に、大西の書いている文章の最後の方の文字が目に飛び込んでくる。
板絵の左端を一筋に輝かせるほどに、何もない空間からは光があふれ出している。
あ、もう絵を見ている感覚がなくなる。大西の視線にのみこまれ、大西になって絵を見てしまう。そこから離れるのは、とても難しい。
で、いつのながらの、意地悪な疑問がわいてしまう。「主役は誰?」 大西の文章? レンブラントの絵でなくていいの?
うーん。
しかし、大西の文章が好きだなあ。
欲を言うと・・・。
今回の文章は少しだけ変だった。新聞紙面の組み方の問題だが、段落ごとの空白が少なく、ぎっしり詰まっている。それが文章全体を窮屈に見せる。漢字とひらがなのバランスが美しいのが大西の文章の特徴だが、その特徴が生かされていない。大西以外のひとの視線(国立西洋美術館の幸福輝の意見)が挿入されていることも遠因かもしれないが。
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