中国の百度(Baidu)地図のストリートビュー(全景)が、新しく
丹東市もカバーした(撮影2016年6月)ことを知ったので、さっそく
観察してみた。
△百度地図より
鴨緑江を挟み北朝鮮と向かい合う中朝国境の都市、丹東市。
(日本語ウィキ、朝鮮族人口「20万以上」の記述は誤り、17年現在)
△丹東市(英語版ウィキより)
中国における中朝交易の最大拠点都市で、人口240万を抱える大都市だ。
■中朝国境の240万都市
△左手に「中朝友好の橋」が見える。対岸は北朝鮮。
鴨緑江の対岸は北朝鮮。
△(新)鴨緑江大橋
有名な「中朝友好の橋」の他、鴨緑江大橋で北朝鮮と直接つながって
いる。
△鴨緑江大橋につながる自動車専用道路
ただし、2016年現在、鴨緑江大橋はまだ完全開通はしていない。
鴨緑江沿いには観光施設や、北朝鮮関連の店舗が目立つ。
北朝鮮の国旗もあちこちで目にできる。
△旅行の土産店もある
■丹東市の朝鮮族タウン
△丹東市の高麗街通り(百度地図より)
中国語ウィキペディアによれば、2010年現在、丹東市の総人口
244万人中、最大の民族集団は漢族で161万人。
△ハングル文字の店舗が立ち並ぶ朝鮮族タウン①
以下、満州族77万人、モンゴル族2万6000人、朝鮮族1万7000人、
回族1万5000人などの順となっている。
△丹東市朝鮮族タウンの雑居ビル
ちなみに、瀋陽や大連を含む遼寧省全体での朝鮮族人口は約24万人
(中国語ウィキペディア、遼寧省の民族構成より)。
△ハングル文字の店舗が立ち並ぶ朝鮮族タウン②
特に丹東市に朝鮮族人口が多いわけではないようだが、丹東駅
近くの鴨緑江沿いの一角には、かなり大規模な朝鮮族タウンがある。
特定のカットだけを見れば、そこが中国だとは信じられない風景が
広がっている。
△「高麗街(고려거리)」の南門
中でも朝鮮族タウンの中心部を通る通りは「高麗街」と名付けられ、
南北約400mにわたり、朝鮮・韓国関係の各種店舗が集中的に立ち
並んでいる。
△「高麗街(고려거리)」の北門
通りの南端と北端にはりっぱな門が建っている。
△丹東市朝鮮族幼稚園には朝鮮語クラスと中国語クラスがある
また、ストリートビューでは、朝鮮族の幼稚園や「中学」(中学・高校)も
確認できた。
△校門奥の建物は警察官詰所(中国では一般的な風景)
はたして、丹東市に住む朝鮮系中国人(朝鮮族)の人々は、目と鼻の
先にある北朝鮮をどういう思いで見つめているのだろう。
非常に気になるところである。
■韓国の存在感
今回のネット観察で驚いたのは、韓国の存在感の大きさである。
「韓国」を店名に使った店舗があちこちにある。
北朝鮮と隣接する国境の街の朝鮮族タウンでありながら、「ヲタク」の
印象では、「朝鮮」より「韓国」、あるいは「朝韓/韓朝」を店舗の
名称に掲げた店の方が目立った。
日本では使われない「朝韓/韓朝」なる漢字語は、朝鮮(北朝鮮)と
韓国を表す略語だ。
「朝韓」にしろ「韓朝」にしろ、中国に特有の朝鮮半島関連用語だと
言える。
軍事大国を志向する北朝鮮に対し、すでに飛躍的な経済発展を
遂げた韓国。
その2国間の埋めようもなく広がった経済力の差が、中朝国境の
朝鮮族タウンの様子にもはっきり現われている。
シャッターを降ろした古びた朝鮮万物商店と派手な看板を掲げた
韓国食品店が隣接する様子(上記画像)は、そうした事情を象徴的に
物語っているのかもしれない。
■丹東市の日本関連店舗
北海道、六本木、京都。
意外にも、丹東市の朝鮮族タウンでは、日本の地名を使った店舗が
ちらほら目についた。
「北海道」は活魚店。
△「欧州時尚精品」とは「欧州流行名品」くらいの意味
「六本木」は洋服店。
「京都」は喫茶店。
ちなみに、日本の地名ではないが、山葵(わさび)なる店名を持つ
回転寿司の店もあった。
(終わり)
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