例によって「ヲタク」は、細々とではあるが粘り強く、陰気な
ロシア語学習を続けている。
現在、使っているテキストは、この夏、プサンで購入したロシア語の
文法学習書。
△「GO!独学ロシア語文法」(シウォンスクール・ドットコム)
もちろん、韓国人の著者による韓国人学習者を対象にしたテキストだ。
だから、当然のごとくテキストの例文や問題文の端々(はしばし)に、
韓国社会特有のメンタリティーが顔をのぞかせることもある。
例えば、ある問題の一部。
「韓国料理は日本料理よりおいしい」。
日本人の「ヲタク」とすれば、さすがに、この種の問題文には
引っ掛かりを感じざるを得ない。
なぜ、こんなところで、わざわざ「日本」を引き合いに出さなければ
ならないのか?
正直、「うざい」と思った。
しかし、すぐに切なくなってきた。
なぜなら、長年にわたる韓国語学習と韓国社会観察の経験から、
「ヲタク」には、この種の表現の行間が読めるようになっている
からである。
「ヲタク」は、上の文を次のように読んだ(解釈した)。
「日本人を除き、世界で一番、日本料理のおいしさを知っているのは
他ならぬ韓国人だ。日本料理は本当においしい。それでもやはり、
韓国人の口に一番、合うのは、何と言おうが韓国料理である」。
これは、あくまで「ヲタク」の解釈だが、それなりの根拠と自信を
持っている。
だから、切なくなったのだ。
ところで、老婆心ながら、「ヲタク」は、日本の韓国語学習者には、
こういう場合、絶対にッ、感情的になって愚かな反応はしてほしくない、
と考えている。
まかり間違っても、「日本料理の方がおいしいに決まっている」、
「そもそも韓国人は日本に対して無礼だ」とか、「韓国人の誤った
味覚を正すため、醤油やわさびなどの対韓輸出を規制すべきだッ」
などと、子どもじみた発想に陥ってはならないのである。
(終わり)
■미조 「ミジョ・迷鳥」 2014年 〇----
(770)
2014年に公開されたインディーズ系の復讐ドラマ。
韓国映像物等級委員会により、韓国で上映される映画の中で最も
規制の厳しい「제한상영가(制限上映可)」に指定された映画。
この指定を受けると、問題とされたシーンが全てカットされた上、
特定の映画館でしか上映できないという厳しい制限を受ける。
△主人公のミジョ(迷鳥)を演じた女優はイ・ヒョ
この映画の場合、生まれてすぐゴミ箱に捨てられ、養父母からも
残忍な虐待を受けながら育った女性が、長じて、自分を捨てた実の
父親を探し出し復讐するという展開だが、その復讐方法が問題視
された。
彼女の復讐の仕方とは、自分の正体を隠したまま実の父親に接近し、
肉体関係を持った上で、自分を愛するように仕向け、最後に真実を
暴露する、というものだった。
すでに、子どもを捨てた罪の意識にさいなまれ続け、廃人同様の
暮らしをしていた元刑事の父親は、彼女の復讐のワナにはまり、
強い衝撃と絶望の中、完全に壊れて行く。
「ヲタク」の趣向には全く合わない、実に陰惨な内容の映画で
あった。
(終わり)