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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

彼女、お借りします 第149話 『夢と彼女と俺』感想2: 千鶴は小百合おばあさんと最後になにを語るのだろう

2020-07-27 23:56:56 | かのかり
小百合おばあさんの病状に決着がついて以後、当然、千鶴と和也の距離は、正式に縮まることはもはや間違いないと思う。

少なくとも、千鶴は大きく和也に傾くはずで、けれども、そうして二人の距離が縮まってもいくつか不安要素は残っている。

一つは、ルカちゃんの体調問題。

不整脈の話は、いまだに和也たちには明かされていない。

これ、どこかのタイミングで、ルカちゃんが体調を崩して倒れるなり、ルカちゃん自身がワイルドカードとして切ってくる可能性があるのでは?

その場合、和也は、そして千鶴もジレンマに陥るはず。

つまり、ルカちゃんが、第2の小百合おばあさんになる可能性。


でもルカちゃん以上にヤバいと思うのは、ラスボス・マミの降臨

映画製作編に入ってから、完全に姿を消しているマミだけど、底意地の悪さを発揮して、千鶴の成功に対して、あの手この手で邪魔をしてくる可能性は大。

レンカノの件をばらしたり、和也のばあちゃんに告げ口したりと、想像できる限りの悪事を働きそう。

その過程で、そもそも、どうして大学に入学したての頃に和也と付き合おうと思ったのか、いまだ語られていない彼女の心情についても明かされるのかもしれない。

ただ、その事実は、物語展開上、プラスにもマイナスにも働きそうで怖い。。。

いずれにしても、マミの存在は、この物語のそもそもの出発点にあるため、千鶴と和也が最終的に結ばれるためには、マミと正面切って決着を着けないことには前に進めない、ということになりそう。

多分、この件については、無駄に潔癖症の千鶴のほうが悩みそう。

その時のポイントは、「恋心」って何?ってことだと思う。

そして、そのことの探求が、千鶴の課題になる。

そのときに、千鶴を導くのが、多分、妖精・墨ちゃん、ってことになるんじゃないかな。

あと、八重森もなんかしそう。


アニメ第2話の感想でも書いたように、『五等分の花嫁』の終盤で、すっかりスマートな主人公だったはずの風太郎が、一切内面を見せないロボと化しているうちに、いつの間にか、物語が作者に都合のいい結果に捻じ曲げられて、ただの駄作になってしまったことを思うと、この物語のキャラは、みな、強い欲望や意志を持っているところがいいと思うんだよね。

千鶴は、祖父の教えの「夢は願えば叶う」を嘘にしないという決意も含めて、なにがなんでも女優として成功しようと思っているし、実際、その最大の目標が、女優だった小百合おばあさんだし。

いうまでもなく、小百合おばあさんのモデルは、吉永小百合だよね。

で、その小百合おばあさんが心配している通り、祖父の言葉や、祖母(←小百合おばあさんのことね)自身が大女優であったという事実が、むしろ、孫娘である千鶴の人生を狂わせていないか、ということをとても気にしている。

つまり、千鶴に呪いをかけてはいないか、ということ。

で、小百合おばあさんからすれば、大女優と崇められた自分を、しかし、日常生活の面で支えてくれたのが、ごくごく平凡なタクシー運転手だった勝人だった、という事実が、千鶴の相手として和也がふさわしいと思っている、ということなのだと思う。

女優という人気商売は博打であり、まさに観客からの応援で成立していることを一番身体的に理解しているのが小百合おばあさんなんだよね、きっと。

だから、自分と勝人の夫婦の姿を、千鶴と和也の姿に重ねているのは間違いない。


それにしたって、和也くらい、あるいは千鶴くらい、最初から自分の欲望は欲望で明確にしてくるキャラたちの物語のほうが好きなんだよね。

そういう意味では、このあと出てくるルカちゃんや墨ちゃんも、思い切り自分の欲望、というかしたいことに忠実だからかね。

みんな欲望を持っている分、無駄に空回りしたり、不要な衝突を繰り返す。

でも、それは、物語の作り方としては、ちょっと古い気もしていて、そのあたりが、人を選ぶかな、とは思う。

和也って、ポップのポジションだと思うんだよね、『ドラゴンクエスト』の。

ボトムからスタートして紆余曲折を経ながらも着実に成長していくタイプ。

もちろん、千鶴もとう、

ただ、女優になるという約束は、勝人おじいさんとしていたんだよな。

でもそのおじいちゃんとの約束が叶わなくなったから、代わりに小百合おばあさんが見届ける形になってしまった。

要するに、千鶴って、おばあちゃんっ子以上に、おじいちゃんっ子だったってことで。

そういう意味では、千鶴は、勝人おじいさんとの約束が呪いになっている。

となると、その爺ちゃんの姿を和也の中に見出した時、本気で惚れるし、デレるんだろうなw

145話の和也の千鶴に対する思いを聞いたときの小百合おばあさんは、あれ、絶対、昔同じことを勝人爺さんに言われたよね。

たぶん、そこに鍵があると思う。

千鶴は千鶴で、ルカちゃんに対しては自分がけしかけた負い目があるし、マミちゃんに対しては、和也の未練を気にしている。しかも、自分はレンカノとしてスタートしているから。

その意味では、千鶴こそが自分の気持ちに何重ものシールドをはって、ごまかしているんだよね。

意固地になっているところもある。

時間を止められてしまったところもある。

小百合おばあさんが困ったのは、彼女はあくまでも舞台の上に立つ女優であって、観客から応援する側ではなかったこと。

だから、勝人が亡くなってから、千鶴をどう自由にしてやればいいのか、わからなかった。

そこに表れたのが、和也だった、ということ。

もちろん、多分、和也の信頼を明らかにする前に、マジで、病院において、和婆さんとの付き合いの中で、和也の家の家風に感じるところがあったからだと思う。

今でこそ、コンビニになってしまったが、もともと、和の店は、酒屋だった。

酒は、宴や祭りの華。

そして、その華を前に、舞台があがる。


割れ鍋に綴じ蓋、

夫婦というのはそういうもの。

そのことを、人生の大先輩である、小百合と和はわかっていた。

ただ、問題は、小百合おばあさんは、事実として、大女優であったこと。

だから、そのアドバイスは、必要以上の衝撃や勘ぐりを千鶴に与えてしまう。

そこで必要だったのが、あくまでも千鶴のいる場所に一緒に立って、寄り添って、支えてくれる人物、無条件で応援してくれる人物。

そんな人物をいつの間にか期待していた小百合おばあさんのお眼鏡にかなったのが、和の孫の和也だった。

むしろ、逆に、和也の姿に、若かりし頃の、出会ったばかりの頃の勝人爺さんの姿を思い浮かべていた、というのが真相じゃないかな。

だから、きっと、小百合おばあさんは、和の中に、勝人と似たものを見出したに違いないのだ。

そうした話を、これから最後の時間を使って千鶴に話すのかどうかが、気になるところ。

そして、物語の向かう先を大きく変えるはず。

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