スース5
夜は露店の兄ちゃんがお店を閉めてから夕飯に連れて行ってくれた。
近所の食堂に入って注文。「何食べる?」「何でも!」
出てきたのはオドロオドロしい緑色のスープのようなお皿とケバブという焼肉のプレート。
「これ何?」「モロヘイヤだよ」
あー見た目ほうれん草みたいな葉っぱね。最近日本でも売られているのを見るね。
こんな風にスープ状にするんだ。お肉も入っている。
とてもネバネバしていて、パンに付けてたべる。
見た目の毒々しさとは反対においしい♪
兄ちゃんはとても線が細いのに、あまり食べない。
「細いんだからもっとたくさん食べないと。」「デブになりたくないんだよ」
ふーん。細い方がいいのかぁ。結局、二人で半分ほどを食べるのがやっとだった。
食べ終わると手を洗う。
食堂には必ず手を洗うための洗面台がある。この国では肉でも魚でも手で食べるのがおいしい。
お会計で財布を取り出すと、兄ちゃんはギロッとにらんで「何出してるの?君が払う必要はない」
といって払ってくれた。
「いやおごってもらう理由ないし。払うお金もあるよ。」
多分、昼間に祝日で銀行が閉まってて両替ができないから困ると私が言ったのを覚えていたに
違いない。
「もし払ったりしたらもう口きかないから。」
そこまで言われては、素直にご馳走になるしかないでしょ。
こういった国では仲良くなってもお会計はよろしくね、と金持ちツーリストが払って当たり前、
という雰囲気が常にあるので、これにはちょっと驚いた。
お茶はどこでも喜んでご馳走になるけど、外での食事はちょっと申し訳ないと思ってしまう。
彼には「チュニジアの九州男児」というキャッチフレーズを密かに付けた。
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