熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

新春の歌舞伎座の賑わい

2014年01月05日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   関西と比べて、東京の冬は、天気も良くて、かなり温かく、夏もそうだが、過ごし易いと思っている。
   今年の新春も、天気が良くて穏やかな日が続いた。

   今日午後、思ったより寒かったが、歌舞伎座の夜の部の観劇のために、東京に出かけた。
   正月休みの最終日と言う中休みの所為か、東海道線も空いていて、社内で本も読めた。中川右介の「坂東玉三郎」である。

   時間があったので、散歩も兼ねて、新橋で下りて、木挽町まで歩くことにした。
   日曜日なので、中央通りは歩行者天国となっていたし、かなり、商店もオープンしていたが、客は疎らで、イルミネーションをバックにして、中国人らしきグループが写真を撮っているのが目立った程度であった。
   銀座を歩いていて、一眼レフの大型カメラを構えて写真に興じているのは、大概、中国人(恐らく、香港か台湾の中国人)で、若いカップルの数グループであるか、あるいは、地方からだと思える日本人のアマチュア・カメラマンと言った感じである。

   歌舞伎座に着いたのは、丁度、昼夜入れ替え時間であったので、歌舞伎座の前は、客でごった返していた。
   尤も、あっちこっちで歌舞伎が上演されている所為なのか、何故だか分からないのだが、チケットも随分残っているし、空席もあって、杮葺落公演も色褪せたのか、劇場の賑わいも、もう一つで、賑わっているのは、三階席ロビーの鯛焼きコーナーだけであろうか。
   
   
   

   ロビーに入ると、やはり、正月飾りの華やかさもあり、それに、着飾った和装の婦人客も多いので、ホンワカとした新春の香りと雰囲気が漂っていて、中々、良いものである。
   正面に、でんと大きなお鏡餅が置かれていて、二階ロビー下の袖の提灯や凧等のディスプレィが華やかで面白い。
   元々、歌舞伎の舞台そのものが、極彩色の世界であるから、欧米の劇場とは違って、華やかであれば華やかである程、雰囲気が出る筈なのである。
   ロビーには、看板役者である藤十郎、幸四郎、吉右衛門の御婦人方が、おられた。
   
   

   仮名手本忠臣蔵の「山科閑居」の後の休憩で、外に出ると、もう、真っ暗で、銀座方向のネオンは明るかったが、珍しく、歌舞伎座の前の道路は、閑散としていた。
   この日の観劇の印象記は、別稿に譲るが、この「山科閑居」は、仮名手本忠臣蔵の中でも、最も充実した舞台だと思うのだが、他の段と違ってストーリーとしての連続性に欠けるので、通し狂言から外されることが多い。
   今回は、幸四郎と吉右衛門と言う決定版とも言うべき役者が、加古川本蔵と由良之助を演じるのだが、重鎮過ぎる芸の頂点を極めた筈の藤十郎が戸無瀬を、そして、梅玉が力弥を演じており、お石の魁春は、適役だと思うのだが、舞台そのものが余りにも重すぎて、劇薬を飲んでいるようで、芸術としてはそれで素晴らしいとしても、私には、すんなりと楽しめなかった。
   その意味では、最後の井上ひさし原作の新作歌舞伎「東慶寺花だより」の、染五郎以下芸達者なパンチの利いた役者たちの軽妙洒脱で、謂わば、中身は無味乾燥ながら、恋ありお色気あり、最後はあべこべ社会を笑い飛ばすと言うオチで終わる舞台が、結構楽しませてくれた。
   
   
コメント
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