熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

新しい年にあたって思うこと

2014年01月01日 | 生活随想・趣味
   久しぶりに、大晦日は、紅白歌合戦を見て、ゆく年くる年の日本の風景をテレビで眺めながら、新年を迎えた。
   悠々自適と言うか、昔のように、すまじき宮仕えからも離れて、勝手気ままな晴耕雨読の生活に入ると、特に、新年と言っても何の特別な感慨もないが、それでも、自分なりに充実した新しい年を送りたいと言う気概はある。

   この口絵写真は、旅行で10年ほど前に行ったフィラデルフィアの「自由の鐘」越しに見たインディペンデンス・ホールで、いわば、私が、40年前に、海外に開基(?)した原点のような原風景なのである。
   今は、この割れた自由の鐘は立派な祈念館に安置されているのだが、当時は、インディペンデンス・ホール中央に無造作に置かれていた。
   これまで、何百回と言う程飛行機に乗って海外を歩いて来たが、この時、初めて飛行機で海外に出て、このフィラデルフィアで2年間過ごしながら、何度もここを訪れて、アメリカ独立の息吹を感じながら、発奮した。

   私は、今でも、大学院生活を、このフィラデルフィアで送れたことを、幸せだと思っている。
   ペンシルべニア大学は、アメリカ独立宣言を起草したベンジャミン・フランクリンが1740年に創立したアメリカ最古のユニバーシティだが、このインディペンデンス・ホールは、アメリカ独立の原点であり、狭い質素な議場の中の、この目の前で、ワシントンやジェファーソンやフランクリンたちが、口角泡を飛ばしてアメリカの独立について激論を交わしていたのだろうと思うだけで、胸の高鳴りを覚えて感動した。
   ボストンなども、アメリカ史にとっては貴重な都市だが、フィラデルフィアは、格別であったような気がする。
   
   アメリカについては、色々な思いが錯綜しているのだが、一宿一飯の恩義を感じる以上に、偉大な歴史と伝統を持った素晴らしい国だと思っており、私自身が、国際戦士(自分では、そう思っている)として、心置きなく戦えたのは、このフィラデルフィアでの経験と勉強があったからだと思っており、私の今日ある姿の原点でもあった。

   こんな感慨は、シェイクスピアの故郷・ストラトフォード・アポン・エイヴォンの街の中を歩いた時も、シェイクスピアもここをあるいた筈だと感じて感激したり、ロンドンのイタリアン・レストランのクォ・ヴァディスの3階の屋根裏部屋で、ここで寝起きして大英博物館に通い詰めていた筈のカール・マルクスに思いを馳せたり、ヴァチカンでミケランジェロやラファエロを感じたり・・・そんな思いは数々あるが、フィラデルフィアでの思いは、最初であるから強烈であった。

   ところで、私の新年での思いは、その後、この世界は一つだと感じて歩んできた今、コンサルタント業からも離れて、散発的な大学などの非常勤の講義以外は全く世の中からの雑務から解放されたので、読書傾向を一気に方向転換をして、グローバルベースで、世界の歴史や文化文明を、もう一度原点から勉強し直して、人類の文化文明遺産の奥深さ、そして、人間の偉大さ・素晴らしさを実感したいと言うことである。
   
   幸い、鎌倉への移転を機会に、埋もれていた多くの蔵書の中から、これは絶対に読みたいと思って買っておきながら、失念していたその方面の関係本が、随分と出て来た。
   まず、トインビーやギボンやトゥキディデスあたりから挑戦しようと思っている。

   もう一つは、数年前から通い始めている能・狂言への鑑賞力を高めたいと言うことと、もう、20年以上も続けている歌舞伎や文楽、等々を含めて、もう少し、古典芸能の勉強と鑑賞を通して、日本の文化文明の凄さ素晴らしさを実感しながら、日本とは一体何なのか、自分自身のアイデンティティを確かめてみたいと言う思いである。
   学生時代には、寸暇を惜しんで歩き続けた京都と奈良などの歴史散策で、建築や仏像や庭園の素晴らしさに感激していたのだが、歳をとると生きたパーフォーマンス・アーツに興味が移ったと言うことでもあろうか。
   引退後は、奈良か京都に住みたいと思っていたのだが、勉強するためには、あるいは、生きた日本や世界を感じるためには、東京を離れる訳には行かないと思っているので、この鎌倉が終の棲家になるだろうと思っている。

   それに、幸いにも、千葉の家同様に、庭が広くて花木も豊かに植わっているので、植栽を少しずつ変えて行って、私なりの庭にかえて行こうと思っている。
   鉢植えに出来る花木は、かなり、持ち込んで来たので、面白い庭にしたい。
   そして、鎌倉やこの近辺には、立派な景勝地が多くて、散策のみならず、写真を撮るためにも格好の場所でもあるので、趣味と健康維持の実益を兼ねて、カメラを抱えて歩いてみたいと思っている。
   老いて益々盛んと言わないまでも、私には、それ程暇はないのかも知れないと思うことが多い今日この頃である。

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする