野口悠紀雄の「世界史を創ったビジネスモデル」の中で、ローマ帝国の歴史を語っていて、税率が低いと考えられているローマは、表面的にはそう見えるのだが、日本の税率の方が低くて、現在の日本の税負担率は、国民所得に対する比率でみて、先進国の中では、かなり、低いと言う。
2013年度で、日本は21.1%で、欧州諸国の多くは3割を超えており、社会保障負担を入れると、41.6%で、これを見ても欧州より低いと言うのである。
因みに、ローマは、十分の一税で、収穫量、すなわち、生産量・売上高に対して10%の税であるから、必要経費を引いた利益が売り上げの三分の一だとすると、十分の一税では、利益に対しては、3割の課税となる。
日本の企業全体で、税引き前当期純利益の売上高に対する比率は、2014年度で、4.2%であるから、法人税等の売上高に対する比率は、1.3%にしかならない。
つまり、十分の一税の7分の1程度の負担率であり、仮に、十分の一税だと、殆ど企業は税引き後の利益はマイナスとなり、倒産してしまうと言うことである。
ところで、現在の日本は、国家債務が異常に高くて、支出の半分は国債で賄っており、国債発行残高のGDPに対する比率は、他の先進国に比べて極めて高い。
つまり、日本の財政の問題は、税負担が高いことではなく、税負担を上げられずに、支出のみが膨張し、、その結果、財政赤字が拡大していることであり、支出に見合うだけの税負担をしていないのである。と言う。
野口教授は、この状態が長く続くわけはなく、ある時、国債が貨幣に変わることによってインフレーションが生じ、それによって財政赤字の実質値が解消されると言う危険が最も高い。
それを解消するためには、税率を引き上げることが必要となる。と言う。
さて、それでは、増税だが、国際競争力を強化維持するためには、そして、経済の活性化のために、外資の導入を図るためには、グローバルベースで熾烈な競争を演じている法人税率の更なる低下が必要となっているので、これには期待できないので、欧米の先進国よりかなり低い間接税、すなわち、消費税なり付加価値税を引き上げて、直間比率を大幅に見直すことが必要となろう。
現在、2019年10月1日から、消費税率が10%に引き上げられることになっている。
しかし、安倍側近の萩生田幹事長代行が、「景況感次第で延期もあり得る」と意味深な発言をしたり、トランプ政権が、貿易交渉で、消費税の輸出戻し税を自動車などへの「輸出補助金」だと批判し、10月からの消費増税を問題視し始めるなど、雲行きが怪しくなり始めており、増税すれば、必ず経済にマイナス効果を齎すことは必定であり、直近の補選でダブル敗北した自民党にとっては、参議院選前には、増税を避けたいのが本音ではないかと思う。
まして、大和総研が3月に発表した「日本経済中期予測(改訂版)」では、2019年以降、トランプ政権の迷走、中国経済や欧州経済の悪化、残業規制の強化、株価下落による個人消費の悪化など内外の様々な下振れリスクが顕在化した場合、日本の実質GDPは最大で3.6%程度減少する可能性がある。と言うのであるから、ましてであろう。
ところで、野口教授の説くごとく、日本経済の将来を考えれば、絶対に、10月に消費税を10%に引き上げることは必要であろうし、それどころか、近い将来、消費税率を、低いドイツでも19%であるから、他の欧州並みに20%以上に引き上げても、不思議はないと考えられる。
問題は、これまでの日本の税制度であって、政治経済社会に、低い消費税率がビルトインされてしまっていて、それに、慣れきってしまった日本人に、いくら、増税が必要だと言っても、受け入れられないことである。
スウェーデンなどの超福祉国家では、税率が非常に高いのだが、福利厚生に対しては一切国家が責任をもって国民生活をサポートすると言う生活に慣れていれば、いくら税金が高くても国民は納得して税金を納めると言うことである。
尤も、ここでは、法人税と消費税だけについて論じているので、不十分であって、税制全体として考えなければならないことは勿論である。
たとえば、以前に、大前研一の「訣別ー大前研一の新・国家戦略論」での提言を紹介したのも、先の債務超過の日本財政を健全化するためのドラスチックな一つの改革かも知れない。
所得税、法人税、相続税などの従来の直接税を全部廃止して、道州制のような統治機構が出来たタイミングで、資産税と、間接税を一本化して付加価値税の二本立てにする。生活基盤を作る責任があるコミュニティーは資産税を、産業基盤や雇用を作る責任のある同州が付加価値税を徴収する。と言う。
日本全体で不動産資産が1500兆円、金融資産が賞味1000兆円あるので、資産の時価評価の1%にすれば資産税の税収は25兆円、付加価値税は、GDPが500兆円であるから、5%なら25兆円、10%なら50兆円の税収が捻出できる。と言う計算である。
また、ピケティは、有能なプロを使って大胆にリスクを取って投資し増殖し続ける富者の金融財務資産のダイナミックな集積や、膨大な相続財産(inherited wealth)の複利的増殖など富者の所有する資産・資本を注視しており、この傾向を阻止するためにも、加速度的な累進課税、特に、累進的資本税(a progressive tax on capital)の導入をを強力に提案している。
言葉は悪いが、国家権力で、富者から富を収奪するのが一番手っ取り早い方法かもしれないし、いろいろの考え方があるであろうが、
日本の場合には、さしあたって、近い将来、消費税を適当な水準まで、増税せざるを得ないと言うことであろうか。
2013年度で、日本は21.1%で、欧州諸国の多くは3割を超えており、社会保障負担を入れると、41.6%で、これを見ても欧州より低いと言うのである。
因みに、ローマは、十分の一税で、収穫量、すなわち、生産量・売上高に対して10%の税であるから、必要経費を引いた利益が売り上げの三分の一だとすると、十分の一税では、利益に対しては、3割の課税となる。
日本の企業全体で、税引き前当期純利益の売上高に対する比率は、2014年度で、4.2%であるから、法人税等の売上高に対する比率は、1.3%にしかならない。
つまり、十分の一税の7分の1程度の負担率であり、仮に、十分の一税だと、殆ど企業は税引き後の利益はマイナスとなり、倒産してしまうと言うことである。
ところで、現在の日本は、国家債務が異常に高くて、支出の半分は国債で賄っており、国債発行残高のGDPに対する比率は、他の先進国に比べて極めて高い。
つまり、日本の財政の問題は、税負担が高いことではなく、税負担を上げられずに、支出のみが膨張し、、その結果、財政赤字が拡大していることであり、支出に見合うだけの税負担をしていないのである。と言う。
野口教授は、この状態が長く続くわけはなく、ある時、国債が貨幣に変わることによってインフレーションが生じ、それによって財政赤字の実質値が解消されると言う危険が最も高い。
それを解消するためには、税率を引き上げることが必要となる。と言う。
さて、それでは、増税だが、国際競争力を強化維持するためには、そして、経済の活性化のために、外資の導入を図るためには、グローバルベースで熾烈な競争を演じている法人税率の更なる低下が必要となっているので、これには期待できないので、欧米の先進国よりかなり低い間接税、すなわち、消費税なり付加価値税を引き上げて、直間比率を大幅に見直すことが必要となろう。
現在、2019年10月1日から、消費税率が10%に引き上げられることになっている。
しかし、安倍側近の萩生田幹事長代行が、「景況感次第で延期もあり得る」と意味深な発言をしたり、トランプ政権が、貿易交渉で、消費税の輸出戻し税を自動車などへの「輸出補助金」だと批判し、10月からの消費増税を問題視し始めるなど、雲行きが怪しくなり始めており、増税すれば、必ず経済にマイナス効果を齎すことは必定であり、直近の補選でダブル敗北した自民党にとっては、参議院選前には、増税を避けたいのが本音ではないかと思う。
まして、大和総研が3月に発表した「日本経済中期予測(改訂版)」では、2019年以降、トランプ政権の迷走、中国経済や欧州経済の悪化、残業規制の強化、株価下落による個人消費の悪化など内外の様々な下振れリスクが顕在化した場合、日本の実質GDPは最大で3.6%程度減少する可能性がある。と言うのであるから、ましてであろう。
ところで、野口教授の説くごとく、日本経済の将来を考えれば、絶対に、10月に消費税を10%に引き上げることは必要であろうし、それどころか、近い将来、消費税率を、低いドイツでも19%であるから、他の欧州並みに20%以上に引き上げても、不思議はないと考えられる。
問題は、これまでの日本の税制度であって、政治経済社会に、低い消費税率がビルトインされてしまっていて、それに、慣れきってしまった日本人に、いくら、増税が必要だと言っても、受け入れられないことである。
スウェーデンなどの超福祉国家では、税率が非常に高いのだが、福利厚生に対しては一切国家が責任をもって国民生活をサポートすると言う生活に慣れていれば、いくら税金が高くても国民は納得して税金を納めると言うことである。
尤も、ここでは、法人税と消費税だけについて論じているので、不十分であって、税制全体として考えなければならないことは勿論である。
たとえば、以前に、大前研一の「訣別ー大前研一の新・国家戦略論」での提言を紹介したのも、先の債務超過の日本財政を健全化するためのドラスチックな一つの改革かも知れない。
所得税、法人税、相続税などの従来の直接税を全部廃止して、道州制のような統治機構が出来たタイミングで、資産税と、間接税を一本化して付加価値税の二本立てにする。生活基盤を作る責任があるコミュニティーは資産税を、産業基盤や雇用を作る責任のある同州が付加価値税を徴収する。と言う。
日本全体で不動産資産が1500兆円、金融資産が賞味1000兆円あるので、資産の時価評価の1%にすれば資産税の税収は25兆円、付加価値税は、GDPが500兆円であるから、5%なら25兆円、10%なら50兆円の税収が捻出できる。と言う計算である。
また、ピケティは、有能なプロを使って大胆にリスクを取って投資し増殖し続ける富者の金融財務資産のダイナミックな集積や、膨大な相続財産(inherited wealth)の複利的増殖など富者の所有する資産・資本を注視しており、この傾向を阻止するためにも、加速度的な累進課税、特に、累進的資本税(a progressive tax on capital)の導入をを強力に提案している。
言葉は悪いが、国家権力で、富者から富を収奪するのが一番手っ取り早い方法かもしれないし、いろいろの考え方があるであろうが、
日本の場合には、さしあたって、近い将来、消費税を適当な水準まで、増税せざるを得ないと言うことであろうか。