「イリアス」に続いて、バーバラ・レオニ・ピカード の「ホメーロスの オデュッセイア物語」(岩波少年文庫) を読んでみた。「イリアス」はトロイヤ戦争物語なのだ戦争の話が主体なので比較的単純なのだが、オデュッセイアの方は、オデユッセウスのドラマチックで幻想的なな航海冒険物語や、留守中に愛妃と国家を略奪しようとする敵の成敗など小説のようなストーリー展開なので、はるかに面白かった。
オデュッセウスがトロイア戦争の勝利の後に凱旋する帰途、漂流して10年間にもおよぶ苦難の航海、オデュッセウスの息子テーレマコスの父を探す探索の旅、不在中に妃のペーネロペーと財産略奪を計る求婚者たちの悪行狼藉とその報復、との3部構成となっていて、女神アテネーが狂言回しのように暗躍して物語を展開する。
オデュッセウスの漂流譚は、キコネス族の国の略奪やロトパコス(蓮lōtos食べるphagein)の国の楽天人生から始まり、次に転機となるのは、一つ眼の巨人のキュクロプスの国で、部下が二人ずつ食い殺されるので、巨人ポリュペーモスが寝ている間に、その怪人の一つしか無い眼を先の尖った大きな杙で刺し貫き、怪人が、眼が見えず慌てている隙に羊を奪って船に乗せてが寝ている間に、その眼を先の尖った大きな杙で刺し貫き、眼が見えず慌てている隙に羊を奪って船に乗せて逃げるのだが、運悪く、このポリュペーモスが、海の神ポセイドンの子供だったので、子供の報復のために徹底的にイタケーへの帰還を妨害されることになる。
その後、風神アイオロスの国、ライストリュゴネスの国で攻撃されて、12隻あった艦船を1隻を残してすべて沈められてほとんどの部下も失い、魔女キルケの国で動物に変えられる危機を逃れ、キルケの指示で冥界を訪問し、美しい声の魔女セイレンの海、怪物カリュプディスとスキュラのいる魔の海峡、太陽神ヘリオスの島トリナキエでの神羊殺し、オギュギエ島での美しい女神カリュプソの呪縛、と続くのだが、
余談ながら、このカリュプソに愛され、夫にするために7年間も引き止められて、ゼウスとアテネが心配してヘルメスを伝令に送って泣く泣く解放されたと言うから、10年のうち、殆どここで棒に振っている。いくら超美人との酒池肉林の毎日でも、イタケーの妻子が恋しくて望郷の念冷めやらず、沈痛な日々だというのが面白い。
それに、トリナキエ出航後船が難破し全員死亡してオデュッセウス一人になっており、その島には船もなく櫂を漕ぐ男もいなかったので、20本の木材で筏を造り、それにカリュプソから与えられた布で帆を付けて、大海に出帆した。しかし、追い風に乗って順調に進んでいた筏を見たポセイドンは、、三叉矛で海面を掻き回して暴風雨を起こしたので筏が崩壊し、泳いでスケリエ島の浜辺に泳ぎ着く。スケリエ島は、アルキノオス王が治めるパイエケス族の国で、美しいナウシカという王女に助けられて、英雄オデュッセウスであることが分かって、善良な王たちに大いに歓待されて、祖国イタケに船で送り届けられる。
オデュッセウスが死んだと思われているイタケーでは、オデュッセウスの妻ペーネロペーのところに、沢山の求婚者が、領内各地から、結婚と遺産目当てにやってきて宮殿に居着いて言い寄り、連日連夜宴会に明け暮れて、財産を食い潰そうとして数年が経っており、オデュッセウスの妻ペーネロペーの実子テーレマコスは、母の苦境とオデュッセウス家の窮状を救うべく決心し、イタケーの衆を集め求婚者達の横道ぶりを皆に訴え悪辣な求婚者たちへの敵対を表明するるが、若年故無視されて埓があかないので、アテネーの入れ知恵で、オデュッセウスの行方を探す旅に出立する。
テレマコスは、まず、ピュロスの港に着き、父オデュッセウスと共にトロイア戦争を闘った知者の老将ネストルに面会して事情を聴取し、王の息子ペイシストラトスの案内でスパルタへ行って、メネラオス王とヘレナに面会し、メネラオスは、帰途の流浪の途中でナイル河口に着いた時、オデュッセウスはカリュプソの館に引き留められている、という話を海の老人プロテウス神から聞かされたと、テレマコスに教える。
偶然、オデュッセウスがイタケーへ帰還した時、アテネが現れて、オデュッセウスをよぼよぼの年老いた物乞いに変身させて、豚飼エウマイオスの小屋を訪れさせ、変身して自分の主人だと分からないが歓待を受ける。そこへ、忠僕な下僕でもあるので、エウマイオスのところへ、旅から帰還したテーレマコスがやってきて父子の再会が実現する。
これから、オデュッセウスの劇的な帰還と妻との再会、そして、オデュッセウスとテーレマコスの、悪徳求婚者への逆襲と殺戮となる大詰めを迎える。
いずれにしろ、オデュッセウスの財産を食い潰そうと100人もの求婚者が連日宮殿に押しかけて飲み食いして傍若無人に振る舞うと言うストーリー展開や、いくら、復讐だといっても、全員皆殺しにするというオデュッセウスの活劇話も、一寸、違和感を感じた。
私には、ギリシャ神話の世界というか、おとぎ話というか、ファンタジックというか、神と人間が入り乱れて展開する前半のオデュッセウス航海譚が、面白かった。
ギリシャには、悲劇と喜劇の名作があるのだが、ロンドンにいたときに、RSCの「オイディプス王」を観劇して、見るに堪えないほど苦痛を感じて、ダブルブッキングをしていたので、途中で、退席して、隣の大劇場のアンネ・ゾフィー・ムターとLSOのヴァイオリンコンツェルトに移ったことがある。
エピダウロスの古代劇場で見れば別な印象もあるのであろうし、凄いかも知れないと思いながら、ギリシャ悲劇を敬遠して、シェイクスピアの悲劇程度にとどまっていた。
オデュッセウスがトロイア戦争の勝利の後に凱旋する帰途、漂流して10年間にもおよぶ苦難の航海、オデュッセウスの息子テーレマコスの父を探す探索の旅、不在中に妃のペーネロペーと財産略奪を計る求婚者たちの悪行狼藉とその報復、との3部構成となっていて、女神アテネーが狂言回しのように暗躍して物語を展開する。
オデュッセウスの漂流譚は、キコネス族の国の略奪やロトパコス(蓮lōtos食べるphagein)の国の楽天人生から始まり、次に転機となるのは、一つ眼の巨人のキュクロプスの国で、部下が二人ずつ食い殺されるので、巨人ポリュペーモスが寝ている間に、その怪人の一つしか無い眼を先の尖った大きな杙で刺し貫き、怪人が、眼が見えず慌てている隙に羊を奪って船に乗せてが寝ている間に、その眼を先の尖った大きな杙で刺し貫き、眼が見えず慌てている隙に羊を奪って船に乗せて逃げるのだが、運悪く、このポリュペーモスが、海の神ポセイドンの子供だったので、子供の報復のために徹底的にイタケーへの帰還を妨害されることになる。
その後、風神アイオロスの国、ライストリュゴネスの国で攻撃されて、12隻あった艦船を1隻を残してすべて沈められてほとんどの部下も失い、魔女キルケの国で動物に変えられる危機を逃れ、キルケの指示で冥界を訪問し、美しい声の魔女セイレンの海、怪物カリュプディスとスキュラのいる魔の海峡、太陽神ヘリオスの島トリナキエでの神羊殺し、オギュギエ島での美しい女神カリュプソの呪縛、と続くのだが、
余談ながら、このカリュプソに愛され、夫にするために7年間も引き止められて、ゼウスとアテネが心配してヘルメスを伝令に送って泣く泣く解放されたと言うから、10年のうち、殆どここで棒に振っている。いくら超美人との酒池肉林の毎日でも、イタケーの妻子が恋しくて望郷の念冷めやらず、沈痛な日々だというのが面白い。
それに、トリナキエ出航後船が難破し全員死亡してオデュッセウス一人になっており、その島には船もなく櫂を漕ぐ男もいなかったので、20本の木材で筏を造り、それにカリュプソから与えられた布で帆を付けて、大海に出帆した。しかし、追い風に乗って順調に進んでいた筏を見たポセイドンは、、三叉矛で海面を掻き回して暴風雨を起こしたので筏が崩壊し、泳いでスケリエ島の浜辺に泳ぎ着く。スケリエ島は、アルキノオス王が治めるパイエケス族の国で、美しいナウシカという王女に助けられて、英雄オデュッセウスであることが分かって、善良な王たちに大いに歓待されて、祖国イタケに船で送り届けられる。
オデュッセウスが死んだと思われているイタケーでは、オデュッセウスの妻ペーネロペーのところに、沢山の求婚者が、領内各地から、結婚と遺産目当てにやってきて宮殿に居着いて言い寄り、連日連夜宴会に明け暮れて、財産を食い潰そうとして数年が経っており、オデュッセウスの妻ペーネロペーの実子テーレマコスは、母の苦境とオデュッセウス家の窮状を救うべく決心し、イタケーの衆を集め求婚者達の横道ぶりを皆に訴え悪辣な求婚者たちへの敵対を表明するるが、若年故無視されて埓があかないので、アテネーの入れ知恵で、オデュッセウスの行方を探す旅に出立する。
テレマコスは、まず、ピュロスの港に着き、父オデュッセウスと共にトロイア戦争を闘った知者の老将ネストルに面会して事情を聴取し、王の息子ペイシストラトスの案内でスパルタへ行って、メネラオス王とヘレナに面会し、メネラオスは、帰途の流浪の途中でナイル河口に着いた時、オデュッセウスはカリュプソの館に引き留められている、という話を海の老人プロテウス神から聞かされたと、テレマコスに教える。
偶然、オデュッセウスがイタケーへ帰還した時、アテネが現れて、オデュッセウスをよぼよぼの年老いた物乞いに変身させて、豚飼エウマイオスの小屋を訪れさせ、変身して自分の主人だと分からないが歓待を受ける。そこへ、忠僕な下僕でもあるので、エウマイオスのところへ、旅から帰還したテーレマコスがやってきて父子の再会が実現する。
これから、オデュッセウスの劇的な帰還と妻との再会、そして、オデュッセウスとテーレマコスの、悪徳求婚者への逆襲と殺戮となる大詰めを迎える。
いずれにしろ、オデュッセウスの財産を食い潰そうと100人もの求婚者が連日宮殿に押しかけて飲み食いして傍若無人に振る舞うと言うストーリー展開や、いくら、復讐だといっても、全員皆殺しにするというオデュッセウスの活劇話も、一寸、違和感を感じた。
私には、ギリシャ神話の世界というか、おとぎ話というか、ファンタジックというか、神と人間が入り乱れて展開する前半のオデュッセウス航海譚が、面白かった。
ギリシャには、悲劇と喜劇の名作があるのだが、ロンドンにいたときに、RSCの「オイディプス王」を観劇して、見るに堪えないほど苦痛を感じて、ダブルブッキングをしていたので、途中で、退席して、隣の大劇場のアンネ・ゾフィー・ムターとLSOのヴァイオリンコンツェルトに移ったことがある。
エピダウロスの古代劇場で見れば別な印象もあるのであろうし、凄いかも知れないと思いながら、ギリシャ悲劇を敬遠して、シェイクスピアの悲劇程度にとどまっていた。