この本は、東大突破のAIロボット「東ロボくん」の話であるが、その開発途上で、国語や英語で暗礁に乗り上げて、意味を理解できないAIの限界を感じて、読解力に問題があるのではないかと考えた。それを検証するために、中高生を対象にして、基礎的読解力を調査するリーディングスキルテスト(RST)を開発して実施したら、生徒たちの読解力のお粗末さが露呈して、教科書さえ、まともに読めないと言うゆゆしき現実が分ったというのである。
このRSTは、AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げ、エラーを分析してきた蓄積を用いて、人間の基礎的読解力を判定するために開発したテストである。
これが、この本のタイトル「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の趣旨であり、猿がダーツを打って当たる確率程度にしか正解を得られない日本の中高生の読解力であると、AIには勝てず、職の多くは、Aiに駆逐されて排除されてしまうと言う恐ろしい警告である。
その前に、今後10~20年後にも残る仕事の予測のオックスフォードの調査を踏まえて、人間は、AIにできない仕事ができるかを問う。
「残る仕事」の共通点は、コミュニケーション能力や理解力を求められる仕事や、介護や畦の草抜きのような柔軟性や判断力が求められる肉体労働が多そうで、これは、AIが不得手とする分野、つまり、高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野である。
ところが、現代社会に生きている我々が、AIには肩代わりできない種類の仕事を不足なくうまくやっていけるだけの読解力や常識、あるいは柔軟性や発想力を十分に備えているか、
とりあえず、読解力を基礎とするコミュニケーション能力や理解力を調査したら、前述したように、日本の中高生の多くは、中学校の教科書の記述を正確に読み取ることができなかったと言うのである。このことは、日本の教育制度に殆ど変更がないので、多くの日本人の読解力も同じような危機的な状態にあると言うことであって、欧米のように移民が多い国と違って、単独民族単独言語の国日本としては、極めて深刻な問題である。
更に、著者は、「数学ができないのか、問題文を理解できないのか?」を検証するために、大学生に数学基本調査をテストした。大学陣が、学生の学力の質の低下を感じていて、学生との論理的な会話、設問との回答との間で、会話が成立しないと感じるシーンがあまりにも増えていて、論理的にキャッチボールできないような学生が大学に入ってきても、教育できるとは限らない。と言うことである。
このRSTテストや、大学数学基本調査については、著者は例題を引くなど詳細に説明し結果を論理的に分析して推論しているのだが、学校ののみならず大企業でも調査をしており、私は、その手法なり推論結論には全く異存はないので、その説明は省略する。
興味深いのは。偏差値と読解力との相関関係が非常に高いと言うことである。
RSTで測る基礎読解力の上から順に、偏差値上位の高校に入学していることで、「基礎読解力が低いと、偏差値の高い学校には入れない。」
「旧帝大に一人以上進学している高校」だけを選んで、RSTの能力値と、「旧帝大進学率」の相関を取ったら、そこには高い相関が見られた。
その事実を確認した後、「御三家」と言われる超有名私立中高一貫校の教育方針が、教育改革をする上で何の参考にもならないと言う結論に達した。東大に入れる読解力が12歳の段階で身についているから東大に入る可能性が他の生徒より圧倒的に高い。高校2年まで部活に明け暮れて赤点ギリギリでも、教科書や問題集を読めるのであるから、一年間受験勉強に勤しめば、旧帝大クラスには入学できてしまうと言うのである。
さて、AIと共生する時代ともなれば、AIによってコストを圧縮して減らすことを怠った企業は退場せざるを得ず、一物一価への収斂までの時間がどんどん短くなって激しいディスラプティブ(破壊的)な社会変化が起こっている。
また、AIを導入する過程においては、求められる労働は、高度な知的な労働だけで、ホワイトカラーのやれるような仕事は、ことごとくAIに取って代わられるので、分断されるどころか、その大半が職を失う危険性があり、職を失った人は、誰にでもできる低賃金の仕事に再就職するか、失業するかの二者択一を迫られる。
その後にくるのは、「AI恐慌」とも言うべき世界的恐慌で、回避するためには、「奪われた職以上の職を生み出す」以外に道はない。
先にふれたが、「東ロボくん」は、既に、MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)や関西の関関同立と言った有名私学に合格する能力を有しており、受験生の上位20%以内に入る実力を備えているので、AIが日本経済に君臨すると、AIが人間に代替して仕事をするので、早晩、それ以下の80%以上の日本人は、AIに職を奪われて失業するか、極めて低賃金の仕事に追いやられるか、格差の拡大どころか、国民総貧困化に陥ってしまう。
しかし、今のところ、変化が徐々であって、煮えがえる状態であるので、殆ど気づかずに、国民の多くは、そんなことはない、どうにかなるであろうと思っているのだが、今後急速に、「東ロボくん」以上の能力を持った有能なAIロボットが出現してきて、人間の職に取って代わり、人間を駆逐していくことは間違いない。合理化の権化・強力なコストカッターたるAIロボットを活用しない企業は、国際競争に負けて生きて行けなくなるからである。
目に見えたところでは、バーコードをなぞるだけのレジ係は既に急速に消えて行っているが、しかし、今後は、AI化が、あまりにもディストラプティブ、かつ、急速で激しいので、人間社会がついて行けなくなる。
そうなれば、パニックになり、まさに、「AI恐慌」となる。
このRSTは、AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げ、エラーを分析してきた蓄積を用いて、人間の基礎的読解力を判定するために開発したテストである。
これが、この本のタイトル「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」の趣旨であり、猿がダーツを打って当たる確率程度にしか正解を得られない日本の中高生の読解力であると、AIには勝てず、職の多くは、Aiに駆逐されて排除されてしまうと言う恐ろしい警告である。
その前に、今後10~20年後にも残る仕事の予測のオックスフォードの調査を踏まえて、人間は、AIにできない仕事ができるかを問う。
「残る仕事」の共通点は、コミュニケーション能力や理解力を求められる仕事や、介護や畦の草抜きのような柔軟性や判断力が求められる肉体労働が多そうで、これは、AIが不得手とする分野、つまり、高度な読解力と常識、加えて人間らしい柔軟な判断が要求される分野である。
ところが、現代社会に生きている我々が、AIには肩代わりできない種類の仕事を不足なくうまくやっていけるだけの読解力や常識、あるいは柔軟性や発想力を十分に備えているか、
とりあえず、読解力を基礎とするコミュニケーション能力や理解力を調査したら、前述したように、日本の中高生の多くは、中学校の教科書の記述を正確に読み取ることができなかったと言うのである。このことは、日本の教育制度に殆ど変更がないので、多くの日本人の読解力も同じような危機的な状態にあると言うことであって、欧米のように移民が多い国と違って、単独民族単独言語の国日本としては、極めて深刻な問題である。
更に、著者は、「数学ができないのか、問題文を理解できないのか?」を検証するために、大学生に数学基本調査をテストした。大学陣が、学生の学力の質の低下を感じていて、学生との論理的な会話、設問との回答との間で、会話が成立しないと感じるシーンがあまりにも増えていて、論理的にキャッチボールできないような学生が大学に入ってきても、教育できるとは限らない。と言うことである。
このRSTテストや、大学数学基本調査については、著者は例題を引くなど詳細に説明し結果を論理的に分析して推論しているのだが、学校ののみならず大企業でも調査をしており、私は、その手法なり推論結論には全く異存はないので、その説明は省略する。
興味深いのは。偏差値と読解力との相関関係が非常に高いと言うことである。
RSTで測る基礎読解力の上から順に、偏差値上位の高校に入学していることで、「基礎読解力が低いと、偏差値の高い学校には入れない。」
「旧帝大に一人以上進学している高校」だけを選んで、RSTの能力値と、「旧帝大進学率」の相関を取ったら、そこには高い相関が見られた。
その事実を確認した後、「御三家」と言われる超有名私立中高一貫校の教育方針が、教育改革をする上で何の参考にもならないと言う結論に達した。東大に入れる読解力が12歳の段階で身についているから東大に入る可能性が他の生徒より圧倒的に高い。高校2年まで部活に明け暮れて赤点ギリギリでも、教科書や問題集を読めるのであるから、一年間受験勉強に勤しめば、旧帝大クラスには入学できてしまうと言うのである。
さて、AIと共生する時代ともなれば、AIによってコストを圧縮して減らすことを怠った企業は退場せざるを得ず、一物一価への収斂までの時間がどんどん短くなって激しいディスラプティブ(破壊的)な社会変化が起こっている。
また、AIを導入する過程においては、求められる労働は、高度な知的な労働だけで、ホワイトカラーのやれるような仕事は、ことごとくAIに取って代わられるので、分断されるどころか、その大半が職を失う危険性があり、職を失った人は、誰にでもできる低賃金の仕事に再就職するか、失業するかの二者択一を迫られる。
その後にくるのは、「AI恐慌」とも言うべき世界的恐慌で、回避するためには、「奪われた職以上の職を生み出す」以外に道はない。
先にふれたが、「東ロボくん」は、既に、MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)や関西の関関同立と言った有名私学に合格する能力を有しており、受験生の上位20%以内に入る実力を備えているので、AIが日本経済に君臨すると、AIが人間に代替して仕事をするので、早晩、それ以下の80%以上の日本人は、AIに職を奪われて失業するか、極めて低賃金の仕事に追いやられるか、格差の拡大どころか、国民総貧困化に陥ってしまう。
しかし、今のところ、変化が徐々であって、煮えがえる状態であるので、殆ど気づかずに、国民の多くは、そんなことはない、どうにかなるであろうと思っているのだが、今後急速に、「東ロボくん」以上の能力を持った有能なAIロボットが出現してきて、人間の職に取って代わり、人間を駆逐していくことは間違いない。合理化の権化・強力なコストカッターたるAIロボットを活用しない企業は、国際競争に負けて生きて行けなくなるからである。
目に見えたところでは、バーコードをなぞるだけのレジ係は既に急速に消えて行っているが、しかし、今後は、AI化が、あまりにもディストラプティブ、かつ、急速で激しいので、人間社会がついて行けなくなる。
そうなれば、パニックになり、まさに、「AI恐慌」となる。