津軽中里に到着したストーブ列車は、ただちに機回しに入ります。折り返しまで25分間の余裕があることから、結構のんびりとしたペースで作業を行うのだろうか……と予想していたところ、さにあらず! まず、崖にぶち当たるかのような折返線に進んだDD352は、すぐに向きを変えて機回し側線上を進んで来ますが、そのスピードも意外や意外、客車とDCを置き去りにして身軽なためか、かなりフッ飛ばして (?) いましたので、「雪が降り積もった華奢な側線だから、たぶんソロリソロリと接近してくるだろう……」という予想は裏切られまくり。正直申しますと……小粒な車体のくせに余りにも迫力があり、ジャキジャキと上下に激しく回転するロッドの小気味よい動きもまた絶妙! ファインダーの中でその動きを追っていた私は、その力強い魅力にすっかり参ってしまいました (*^^*)。デッキに乗って指示を出している車掌氏の動作も、何ともシブく決まっているではありませんか!
というわけで、機回し作業中はひときわ風雪が強くなり、カメラとレンズを支える素手はしばれまくりでしたが、短時間ながらも最高に味のある展開でしたので、撮影後のハートはヒートアップしまくり (笑)。DD352が五所川原方に連結されたストーブ列車の勇姿をひとしきり撮影したのち、ニス塗りオハフ33の車内で飲んだ缶コーヒーの、ココロと腹にしみわたることといったら……。そして金木到着後は、駅2階にあるレストランにて、近くの十三湖で採れたシジミがドバドバッと入った「シジミラーメン」の大盛りを堪能したのでした。こんなに粒がデカくてあっさりと美味いシジミがあるのか……と (^O^)。
それはさておき、コーヒー色のDD352は当面、全く快調に動いているようにも見える……のですが、僚機のDD351 (訪れた日は車庫の奥で見ることが出来ませんでした -_-) ともども、車齢は既に約50年。同じ昭和30年代前半に製造されたディーゼル機関車が現役で走っている路線は確かもう他にない中、いまこうして毎日運転されていること自体が奇跡の中の奇跡だと思われます。旅客数が急坂を転げ落ちるように減り続けていることと (2000年度に比べても半分近いとか……)、補修部品の枯渇という二重の困難に見舞われている中、今後も地域おこしに欠かせない稼ぎ頭のストーブ列車を安定的に走らせるとすれば、新たな中古DLの購入も視野に入れないわけには行かず、その資金調達のためにストーブ列車料金が設定されたのかも知れない……と、何となく想像しております。もちろん、このような貴重な古典機がいつまでも走り続け、わざわざ料金を取らなくとも安定した旅客数が保たれることがベストであるのは申すまでもありませんですが……。