東横線で8017Fがさよなら運転を行った後も、東急線上で営業運転を行う最後の8000系として大井町線で孤軍奮闘していた8001F。しかしその活躍も、大井町線における新型ATCの使用開始が命取りとなって、ついに昨日を以て終止符が打たれたようです……。1974年の末に最初に登場した車両が、同じ形式の兄弟たちの離脱を見送りながら最後まで活躍を続けたことで、その引退には大長老としての矜持も漂い、胸を打たれずにはいられないものがあります……。
今後は、辛うじて運転可能な田園都市線でのさよなら運転=「8000系さよなら企画第3弾」の有無が大きな関心を集めるのでしょう。しかし、個人的には「どちらでも良い。別になくても良い」と思っています。思い起こしてみれば、首都圏大手私鉄最後の釣掛の雄・東武5050系も、一昨年の12月にさよなら運転を盛大に行った後、しばらく宇都宮線で淡々と運行されてひっそりと離脱し、7800系以来約50年の歴史に幕を閉じたのでした。それと同じく、8000系も既に東横線であれほどのイベントを行った以上、もう喧噪は不要、大井町線での日常風景を東急での現役最後の記憶とするのも悪くないような気がします。もちろん、何かイベントがあるということでしたら、混雑を忍んででも参加せずにはいられなくなりそうですが……。
というわけで、個人的な8001Fのラストショットは、去る雪晴れの2月4日、午後から出勤するついでに緑が丘で撮影した1枚となりました。しかも何と、運用番号は109!……完璧すぎで、心の底から満足の1カットです! 離脱を控えた昨日までの数日間は、さすがに駅も車内も「鉄」が多く、ときとして大変な状況だったようですが (-_-;)、このとき緑が丘でカメラを構えていたのは辛うじて数人だけ。その後8001Fに乗ってみたところ、車内は大井町に近づくほどスカスカとなり、あくまで日常そのもの。大井町駅で下車する際、他の客がいなくなった8001Fの、初期車ならではの車内をもう一度ゆっくりと眺め回し、昭和44年製の銘板に感じ入り……車掌氏がきびきびと確認作業をしている声だけが響く先頭部を昼前の光が照らし出している光景を目に焼き付けたのち、京浜東北線へと向かったのでした。
最後まで安全無事に走り続けた8001F、本当にお疲れ様でした……!!
8000系が君臨した東急ステンレスカー黄金時代、万歳!!
いっぽう、東急に残る8000系としては、約2年前にドア事故を起こして以来運用から離脱し、事故の再現と検証を目的として (?) 残されている8005Fがありますが、最近はたまに長津田の庫内で位置を変える程度しか動かず、ほとんど忘れられた存在となって久しいですね……。このまま復帰することもなく廃車となるのでしょうが、事故を起こすまでは8001・8003Fともども、大井町線に最後まで残った三兄弟として大活躍していただけに、やはり寂しさを覚えます。8003Fの引退直前ですら大井町線沿線で他に撮り鉄をほとんど見かけなかった以上、この編成が他のHP・ブログ等で顧みられることは少ないでしょう。だからこそ当ブログでは、8001Fとの惜別にあたり、長津田でここ2年間毎日寂しそうに佇んでいた8005Fにも「長年本当にお疲れ様でした」と声をかけてあげたいです……。