全国各地で半鋼製車・初期高性能車はおろか、高度成長期の車両に1980年代のステンレスカーなど、続々と廃車の報せが話題に上るたびに、相模国はつくづく恵まれているところだ……と思います。勿論、小田急顔はつい先日完全に保存車のみの存在となってしまいましたし (TT)、東海道線からもこれまた先日211系が撤退したものですが、そんな天下の小田急線や東海道線においては、7000形や185系といった昭和50年代・鋼製・抵抗制御の名車がまだまだ闊歩しています。そして視線を地方民鉄に転じれば、江ノ電305Fに箱根登山旧型車、それに大雄山線コデ165といった、シブい半鋼製車がまだまだ大活躍中♪ (まぁ大雄山コデは特定日のみ運転で一般客は乗れませんが……^^;)
しかし、かくも恵まれた環境に住んでいるからこそ、ついつい油断してしまい、地元の名車をおろそかにしてしまいがちです。とりわけ、新造から半世紀を過ぎた旧型車の今後については油断するべきではないのですが……。そしてついに昨日の朝、その油断を痛切に思い知らされたのです。『神奈川新聞』が伝えるところによりますと、小田急箱根ホールディングスは今年度の設備投資計画として、箱根登山・鉄道線について、両運転台で既存車両との混結が可能な新型車3000形を来年春までに2両新造するとか!!
その風貌が具体的にどのようなものであるのか、ロングか転クロかボックスシートか……といった、利用客や撮り鉄にとって最も気になる部分はまだよく分かりませんし、2000形2連と旧型車の両方と混結可能なのか、来年度以降も継続して新造されるかどうかも不明ですが、恐らくはオールマイティーな車両として増備を続けつつ、少なくとも車内がモロに半鋼製(木製の壁にペンキ塗り)なままのモハ1形・2編成4両をゆくゆくは完全に置き換えるのではないかと予想されます。まぁ当面は、観光オンシーズンの車両不足を補い、全列車3連にするための増備であれば、旧型車の廃車も少々遠のくでしょうが……。
う~む、カルダン化された104+106については生き延びて欲しいと思うのですが、少なくとも釣掛のままで残るモハ103+107は近い将来に絶体絶命の可能性大……。既に、訪れる度に運用に入っているところを余り見かけず、予備車的雰囲気が強まっているのかも知れませんが、あの80‰勾配を必死に登る轟音、そして山を下る際にほとんど効かせっぱなしの電気ブレーキ音など、果たして再び(とくに、観光客の歓声や函○○百○の嬌声と無縁な最高の車内環境で)味わう機会があるのかどうか……非常に気になるところです。
勿論、人によっては「旧型車こそ観光ポスターにも盛んに登用される箱根名物。日常から離れてレトロ感を味わうのも箱根観光の醍醐味ではあるまいか」という考えもあるでしょうし、私もそんな発想に一票なのですが、ここに来て箱根登山が車両面でのテコ入れを図ろうとしているのは、箱根がいま以上に国際的観光地としての地位を高めて行く上で不可欠だという経営判断をしたためでしょうか。クラシックな旧型電車は、日本人や(日本人にかなり近い侘び寂び的懐古趣味センスを備えている)台湾人にはウケるかも知れないものの、何かと新しいものにしか関心を示さないヤツが多い中国人や韓国人(儒教の国はこれだからイヤずら)、そして東南アジアetc..の客にはアピール出来ない(または既に不評?)可能性が高いわけで……(-_-)。経年劣化や、喫緊の課題である節電の必要性なども総合的に判断して、2000形以来久々の車両新造に乗り出すということなのでしょう。
モハ1形がそう遠くない将来に消える可能性が高いことについてはもう仕方がないとして、問題はモハ2形にも廃車が波及するのかどうか……ということ。非冷房であることと車体が古く2段窓であることを除けば、既に2000形と近似の下回りと車内スペックと思われますので、何とか今後も末永く生き長らえて欲しいものですが……果たして如何に?