不断に進取の精神を以て美麗なる島国・台湾の発展に貢献している台湾鉄路局は、現在花蓮と台東の間で電化と大幅な軌道改良を推進しており、完成のあかつきには新型振子式電車で台北~台東間を約3時間半で結ぶという夢のような話が実現することになります。その新型車両には、現在の最新型であるTEMU1000系に花蓮近郊の奇勝にちなんだ「タロコ (太魯閣) 号」という愛称が付与されているのと同じく、台東地区を目指す列車としてふさわしい愛称が募集されていましたが、先日台鉄から「プユマ (普悠瑪) 号」を正式名称とする旨が発表されました!!
この「プユマ」とは、オーストロネシア系原住民 (要はフィリピン・マレーシア・インドネシアと文化的に近い人々のこと。原住民という言葉は台湾では差別用語ではなく尊厳ある用語ですのでそのまま当ブログでも使います) のひとつであり、台東近郊に住むプユマ族にちなんでいます。台東の美しすぎる緑の山河、そしてプユマ族やアミ族といった原住民が織りなしてきた質朴な文化……。とくに個人的には、プユマ族出身の歌手・サミンガ(紀暁君)が歌い上げた、故郷への愛に満ちたアルバム『太陽 風 草原的声音』の余りにも格調高い美しさに驚嘆したのを思い出します (早いもので10年以上前のアルバムですが、決してその魅力は色褪せませんので、台東好きな方には超おすすめ)。というわけで、台湾では誰もが即座に思い浮かべるこれらの美しいイメージを身に纏い、新型振子電車は来年の春節以降華やかに走り始めることでしょう!
そんなプユマ号につきましては、既に台鉄の公式HPにて実車イメージも眼にすることが出来ますが、基本的に現在のTEMU1000のシャープな改良版であることが見て取れる一方……あれれ?どこかで見たことがあるような……。そこでひとしきり考えた挙げ句……そうだ!これはJREの新幹線用検測車・East-iのイメージに似せたに違いない!!と判断した次第です (滝汗 ^^;;;)。マジかよ!と思った方は是非台鉄HPにアクセスの上、両者を見比べてみて下さいませ (笑)。まぁタロコが台湾高鉄の真似ならプユマはJRE新幹線の真似ということなのでしょうが (^^;;)、少なくとも、非常に大胆なTRAロゴをはじめとして結構カッコ良いことは間違いありません。どこぞのミ○ーカとかいう輩がデザインした某島の兄弟特急車よりも個人的には一兆倍マシです (爆)。
……とまぁこんな感じで新特急車の登場にワクワクしたところで、画像は全然関係ないのでは?と訝る向きが余りにも多いのではないかと存じますが (^^;;)、いえいえ大いに関係あるのです……。台北~台東間が3時間となってしまえば、現在最速のDC自強号でも相当遅く感じられることになるでしょうし、況んや7時間ほど要する客車急行・キョ光号に至っては……果たして電化完成後東部幹線で生き残ることが出来るのかどうか心配になります。とりあえず、自強号 (タロコ・プユマ号を含む) が停まらない地方の小駅を丹念に結ぶという使命が、かつての高級列車からすっかり落ちぶれてしまったキョ光号にはあるはずで、確か台鉄では老朽化したE200型電気機関車の世代交代も進めるそうですから、花東線高速化ののちも何のかの言ってEL牽引によってキョ光号もスピードアップされて当分残るのかも知れません。それでも、花蓮~台東間では超ガラガラなキョ光号の長大編成に乗り、池上などの途中駅で買った駅弁をのんびりと頬張りながら、鈍足DLが紡ぎ出す絶妙なジョイント音に酔いしれつつのんびりと究極の大自然を楽しむ……という至福のひとときは間もなく過去のものとなることでしょう。既に線路の付け替えや架線柱の設置が進んでいる段階でもある程度魅力は損なわれているのかも知れません……。
そこで気が付いてみれば、最近は長い休みがとれればインドネシアばかりで、約4年半も台湾は御無沙汰になってしまったという……。どうりで個人的に精神衛生が悪化しているわけですな (滝汗)。嗚呼、花東~南廻~屏東線で乗り鉄したい……。