地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第三ヤンゴン熱鉄記 (15) 日本製旧客LBGTX1880

2015-06-01 00:00:00 | ミャンマーの鉄道


 1950年代にH立から輸出されたミャンマー国鉄の旧型客車、とりあえず手持ちの形式写真画像のシメはこちら、LBGTX1880形(仮称)です。1880番台しか目撃していないため、便宜的にこう呼んでいる次第ですが、1870番台以前の車番を持つ同形の車両も存在するかも知れず、それが判明次第この記事の記述も書き換えられるということです……はい (^^;)。
 それはさておきこの客車、前にアップしたコンパートメント寝台格下げ車LBGTX1700形、あるいはオーディナリー客車BDTXZ1350形とは打って変わって、横幅が広い窓がまばらに配置されています。大まかに言って、今日の標準的なオーディナリー客車に近い窓の大きさ・間隔です。この客車の登場当時は一体どのような素性だったのか……?



 そこで思うに、かつてこの車両はファーストクラスとして登場したのかも知れません。ミャンマー国鉄におけるファーストクラスは、決して「一等」という言葉から連想されるものではなく、アッパーの下、オーディナリーの上、そこそこましなボックスシートを装備しているという程度のシロモノに過ぎませんが、とくに1350形と比較しますと窓間隔がゆったり……ということで、登場当時はオーディナリーよりも上級の客車だったのではないかと推測しております。その後、ファーストクラスという等級が中途半端で余り流行らない(?)ものとなるにつれて余剰車となり、ロングシートに格下げされたのではないかと……。当時の設計図や完成写真を見たわけではなく、想像・空想の域を超えなず、大変恐縮ですが……(汗)。
 それにしても、3扉化される前の、かつて花形急行列車に連結され華々しく活躍していた頃の姿は、さぞかし威風堂々たるものだったのではないかと想像せずにはいられません。そして、そこはかとない無常を感じるとともに、この客車の身の上に流れた近現代ビルマ・ミャンマー史の波濤が脳裏に湧き起こるかのようです。
 ちなみに、かつての便所窓の上にある雨避けが何故か残っている1887が、この形式の中で最も原型に近い (?) 1両であろうと思われます。とはいえ、雨避けを撤去して便所窓の痕跡をとどめなくなったもののサボ受けは残っているという1881も、単なるヤンゴン環状線用のボロではない!と自己主張しているようで、なかなか味わい深いものがあります……。

【22:30 補筆】RBE迷様から、この車両は食堂車だったのではないか、というご指摘を頂きました。確かに、1880というキワモノな車番は食堂車っぽいですし、微妙に間隔が異なる窓割りもまた然り……。