~あらすじ~
八王子の一角にある虹色に外壁を染められた七色面妖館。
館内の七つの部屋はそれぞれ魔術、拷問、占星術など倒錯的なテーマで彩られていた。
その各部屋に収められた財宝を目当てにやってきた来客たちが次々と密室不可能殺人で殺されていく。
~感想~
毎年秋のお楽しみ、倉阪バカミスが今年もやってきた。「紅白の小林幸子のように」と宣言して始まったこの企画が本当に毎年続いていることと、当の小林幸子が紅白から脱落してしまったことは実に感慨深い。前作も既読だがまずは今年のこちらから感想を。
ファンには説明不要のこのシリーズだが、まあ上記↑のあらすじなどは基本的にどうでもいい。読者が期待しているのはやはり作品全体に施された偏執的な細工のほうで、事件自体はどうでもいいのだが――それにしても今年の事件のどうでもよさはただごとではない。
七つの不可能殺人の脱力の真相は、脱力の楽屋裏で脱力の文体で語られることで、ますます脱力さが加速している。ならば偏執的な文字遊びの方はどうかといえば、こちらもシリーズ(?)読者には容易に見抜けるレベルでどうも食い足りない。もちろん見抜けないレベルの仕掛けもあるのだが、そちらも既視感バリバリの代物で拍子抜け。しかもそこから物語は二つのエピローグへと流れていくのだが、謎解きは終了してしまい、このシリーズ(?)には稀有な詩情あふれるちょっと良い話で幕を引いてしまうのだ。
いつものバカミスと思いきやエピローグだけで心温まる(?)愛の讃歌(??)へと変貌させられ、ちょっとこちらの期待していたものとは違う方向へすっ飛んでいってしまい唖然としたが、その一方で4ページあればどんな無茶苦茶な話でもちょっと良い話に強制変換できる「銀魂」の一エピソードでも読んだように、謎の感動を覚えてしまったのも事実。
バカミスで愛を描いた(?)史上初の(?)怪作として、あるいは毎年の恒例行事のパターンを崩した異色作として、心に浮かぶ数々の疑問符は打ち消しきれないものの、これはこれでアリなのではないだろうか。
13.10.1
評価:★★☆ 5
八王子の一角にある虹色に外壁を染められた七色面妖館。
館内の七つの部屋はそれぞれ魔術、拷問、占星術など倒錯的なテーマで彩られていた。
その各部屋に収められた財宝を目当てにやってきた来客たちが次々と密室不可能殺人で殺されていく。
~感想~
毎年秋のお楽しみ、倉阪バカミスが今年もやってきた。「紅白の小林幸子のように」と宣言して始まったこの企画が本当に毎年続いていることと、当の小林幸子が紅白から脱落してしまったことは実に感慨深い。前作も既読だがまずは今年のこちらから感想を。
ファンには説明不要のこのシリーズだが、まあ上記↑のあらすじなどは基本的にどうでもいい。読者が期待しているのはやはり作品全体に施された偏執的な細工のほうで、事件自体はどうでもいいのだが――それにしても今年の事件のどうでもよさはただごとではない。
七つの不可能殺人の脱力の真相は、脱力の楽屋裏で脱力の文体で語られることで、ますます脱力さが加速している。ならば偏執的な文字遊びの方はどうかといえば、こちらもシリーズ(?)読者には容易に見抜けるレベルでどうも食い足りない。もちろん見抜けないレベルの仕掛けもあるのだが、そちらも既視感バリバリの代物で拍子抜け。しかもそこから物語は二つのエピローグへと流れていくのだが、謎解きは終了してしまい、このシリーズ(?)には稀有な詩情あふれるちょっと良い話で幕を引いてしまうのだ。
いつものバカミスと思いきやエピローグだけで心温まる(?)愛の讃歌(??)へと変貌させられ、ちょっとこちらの期待していたものとは違う方向へすっ飛んでいってしまい唖然としたが、その一方で4ページあればどんな無茶苦茶な話でもちょっと良い話に強制変換できる「銀魂」の一エピソードでも読んだように、謎の感動を覚えてしまったのも事実。
バカミスで愛を描いた(?)史上初の(?)怪作として、あるいは毎年の恒例行事のパターンを崩した異色作として、心に浮かぶ数々の疑問符は打ち消しきれないものの、これはこれでアリなのではないだろうか。
13.10.1
評価:★★☆ 5