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マンガ感想-『Q.E.D.証明終了 31』加藤元浩

2013年10月07日 | マンガ感想
こんな想像をするんだ
老いて動けなくなった私の手術をする医者が現れる
その医者は"私"なんだ


「眼の中の悪魔」★★★ 6
~あらすじ~
ロキの友人ルーカスがジェットエンジンの実験データを紛失し聴聞会に掛けられた。
ルーカスは「教授にデータを盗まれた」と主張するが、偽証とデータの捏造を疑われる。
一方の教授は燈馬に科学者を襲う「眼の中の悪魔」の存在を語る。

~感想~
研究室内のドロドロした話がまず楽しい。燈馬の指摘する心理・物理の証拠も(物理の方はまず気づくのは無理だが)見事だが、それよりも上記↑斜線のセリフを筆頭にある人が名言を連発。野口英世の逸話も意外だった。
卓越したトリックだけではない「Q.E.D.」の魅力にあふれた一編である。


「約束」★★★ 6
~あらすじ~
登山中の燈馬らは男の滑落死したところに出くわす。
事故死かと思われたが、山小屋の主人は男の名前が駒田利一だと聞き、先代の主人だった父がかつて「駒田利一を殺してくれ」と約束しあう人物を目撃していたという。
本当に約束は果たされたのか? 約束を受けたのは誰なのか?

~感想~
これだけ読んでいると、どうやって意外性を演出するかというパターンが、ある程度は見えてしまい、真相が透けてしまうこともある。
本編もそうだったが、だからといって楽しめないわけではなく、話の展開自体が非常に魅力的であるし、トリックもミスリードのうまさや的確さを十分に味わえることだろう。
また犯人を特定するロジックはいつも意外と強引なことが多いが、今回はたたみかけるように連発することで、説得力も持たせている。

余談だが本作はこの巻が刊行された時期にNHKで実写ドラマ化が決定した。しかしその後、続編もアニメ化の話も無いのは残念である。
燈馬役にオーラが無さすぎたのが原因だろうか。
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