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ミステリ感想-『λ(ラムダ)に歯がない』森博嗣

2016年08月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
海月及介らが泊まりがけの実験をしている目と鼻の先の研究所で4人の身元不明の射殺体が発見される。
現場は密室で犯人が出入りしたログは記録されておらず、また死体は歯を抜かれ「λに歯がない」と書かれたカードを所持していた。
ギリシャ文字にまつわる一連の事件と関わりはあるのか?


~感想~
ギリシャ文字に関する自殺を疑わせる事件が起こり、西之園萌絵がコネを駆使して捜査し、加部野恵美がキャピキャピ推理し、山吹早月が冷静にツッコミを返し、国枝桃子が無言の圧力を掛け、真賀田四季の影がちらつき、赤柳初朗が保呂草サイドから手掛かりを得て謎が解け、海月及介が真相に補足し、犀川創平がとっくに全て知っていた、といういつものパターンから一歩も出ないGシリーズ第五弾。
末期森博嗣の省エネ創作実験とでも言うべきこのシリーズだが、今回は終わってみればなかなかに豪快なトリックと、地に足の着いた動機を設定してくれたおかげで、普通に楽しめた。

十数年ぶりに読み進めてみて、どれだけ省エネに徹しても、どれだけトリックがしょぼくても、とりあえず楽しめるあたりは流石腐っても森博嗣だと改めて感心している次第である。


16.8.21
評価:★★☆ 5
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