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ミステリ感想-『η(イータ)なのに夢のよう』森博嗣

2016年08月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
地上十数メートルの高い枝で首吊り自殺した死体のそばで発見された「ηなのに夢のよう」と書かれた絵馬。
同様の言葉を遺した首吊り自殺が相次ぎ、いずれも不可解な状況に置かれていた。
Gシリーズ第六弾。


~感想~
読者に「ミステリってなんだっけ?」という根源的な問いを抱かせる禅問答ミステリ第二弾。
シリーズとしてはいくらか動きはあるものの、事件の謎は「頑張ったから」で動機は「やりたかったから」で片付けられミステリとしての評価はほぼ不能。
加部谷・山吹・海月の推理も真相にたどり着くことはなく、もはやただの雑談をしているだけで、おなじみのキャラ達の日常風景が淡々と描かれ、そこに異分子のように割り込んでくるミステリ的事件はただの蛇足である。
またこのシリーズは毎回、事件に対する動機の意味の無さを力説してくるが、そのくせ近年の森作品にしてはわりとちゃんとした動機が毎回設定してあるのはなぜだろうか。もっとも本作の動機は前述の通り「やりたかったから」ではあるのだが。
その疑問の答えはきっと「庭先の柏の木だ」に違いない。


16.8.26
評価:なし 0
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