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ミステリ感想-『アンデッドガール・マーダーファルス 2』青崎有吾

2016年11月09日 | ミステリ感想
~あらすじ~
80日間世界一周を成し遂げた資産家フィリアス・フォッグの秘宝「最後から二番目の夜」に、怪盗アルセーヌ・ルパンから盗みの予告状が届く。
対策として呼び集められたのは世界一の名探偵シャーロック・ホームズと保険機構ロイズのエージェント、そして鳥籠使い。
オペラ座の怪人を従えるルパンの魔手から無事に秘宝を守れるのか?


~感想~
無事に漫画化され2作目を迎えたことで情報解禁するが、本シリーズはあらすじを見てもらえばわかる通り、19世紀の有名小説や怪異、実際の事件等からオールスターを集めて事件を起こし、そこにオリキャラの鳥籠使いの面々が挑むという大胆な趣向である。
本作ではかのルパンとホームズが火花を散らすが、前半の「怪盗と探偵」ではルパン物にホームズ物あるいはルパン VS ホームズ物のパスティーシュとして全く遜色ないどころか、ホームズ二次創作の傑作として数え上げられるほどの騙し合いが繰り広げられ、主人公の鳥籠使い3人組と新キャラのロイズのエージェントらもそれぞれ際立った個性で、ルパンとホームズの対決に割って入り、200ページ足らずとは思えないほどに濃厚な中編である。

後半の「夜宴」はミステリ要素はいったん棚上げし、激しい異能力バトルが展開されるがそれはそれで面白く、戦いの行方はもちろんのこと、次作以降でははたしてどの作品の誰が登場するのか、本作ラストで現れた中国人はあいつでいいのかなどなど、興味は引きも切らない。
これだけの労作ゆえか夏に刊行予定が秋口までずれ込んでしまい、今後もさらに遅くはなりそうだが、今最も次が待ち遠しくてならないシリーズである。


16.11.3
評価:★★★★ 8
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