~あらすじ~
子供22人と大人の教師3人が暮らす学園ハーフウェイ・ハウス。学園は森とオベリスクと呼ばれる奇妙な柱に囲まれ、子供達は大人になるまで外に出ることはできない。
だがアガサ・クリスティーを愛するアヤコのもとを、兄を名乗る健一という男が訪ねてきて以来、均衡は崩れ去り…「ハーフウェイ・ハウスの殺人」
その日暮らしを送る健一のもとを訪ねてきた父は、私生児の彼を経営する大会社の後継者として迎え入れたいと告げる。
娘の彩子が脳に障害を負い、跡を継がせることができないためだと言うが、健一は話を疑い、消息を絶った彩子を探すことに…「ふたりの果て」
~感想~
交互に描かれる二つの物語が、最後に意外な連関を見せる意欲作。
正直に言ってトリックやストーリー展開はだいたいこんなところだろうと見当を付けていた範疇から一歩も出ないもので、いかにも浦賀作品らしい大風呂敷とケレン味はあるものの、驚きは一切ない。
だが最後の最後に見せる二つの物語の連関は輝きを放ち、そういう趣向だったのかと膝を打たせるに足るもので、不満が綺麗に消し飛んだ。
だがあいかわらず文章に長編を支えられるほどの力量はなく、余計な繰り返しや冗長なくせに説明不足な描写、不自然過ぎる心理の動きが目に付きまくった。終わってみれば半分ほどは伏線だったことは素直にお詫びしたいが、終盤にキーワードを羅列して開示した真相も「知ってた」で済ませられるほど完全に予想通りで、色々と滑っていたことは否めない。
とはいえ2014年の「姫君よ、殺戮の海を渡れ」、2015年の本作、2016年の「緋い猫」と依然として俺達の浦賀の尖り具合はいささかも衰えておらず、もっと話題になって売れてもいいのにと切に思う。
「姫君よ、殺戮の海を渡れ」の発行年度を調べたらいつの間にか出版されていた桑原銀次郎シリーズの最新作も早く読まなくては。
16.11.14
評価:★★★ 6
子供22人と大人の教師3人が暮らす学園ハーフウェイ・ハウス。学園は森とオベリスクと呼ばれる奇妙な柱に囲まれ、子供達は大人になるまで外に出ることはできない。
だがアガサ・クリスティーを愛するアヤコのもとを、兄を名乗る健一という男が訪ねてきて以来、均衡は崩れ去り…「ハーフウェイ・ハウスの殺人」
その日暮らしを送る健一のもとを訪ねてきた父は、私生児の彼を経営する大会社の後継者として迎え入れたいと告げる。
娘の彩子が脳に障害を負い、跡を継がせることができないためだと言うが、健一は話を疑い、消息を絶った彩子を探すことに…「ふたりの果て」
~感想~
交互に描かれる二つの物語が、最後に意外な連関を見せる意欲作。
正直に言ってトリックやストーリー展開はだいたいこんなところだろうと見当を付けていた範疇から一歩も出ないもので、いかにも浦賀作品らしい大風呂敷とケレン味はあるものの、驚きは一切ない。
だが最後の最後に見せる二つの物語の連関は輝きを放ち、そういう趣向だったのかと膝を打たせるに足るもので、不満が綺麗に消し飛んだ。
だがあいかわらず文章に長編を支えられるほどの力量はなく、余計な繰り返しや冗長なくせに説明不足な描写、不自然過ぎる心理の動きが目に付きまくった。終わってみれば半分ほどは伏線だったことは素直にお詫びしたいが、終盤にキーワードを羅列して開示した真相も「知ってた」で済ませられるほど完全に予想通りで、色々と滑っていたことは否めない。
とはいえ2014年の「姫君よ、殺戮の海を渡れ」、2015年の本作、2016年の「緋い猫」と依然として俺達の浦賀の尖り具合はいささかも衰えておらず、もっと話題になって売れてもいいのにと切に思う。
「姫君よ、殺戮の海を渡れ」の発行年度を調べたらいつの間にか出版されていた桑原銀次郎シリーズの最新作も早く読まなくては。
16.11.14
評価:★★★ 6