小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『彼女が灰になる日まで』浦賀和宏

2016年11月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
1年半ぶりに復帰したフリーライターの桑原銀次郎は、入江という男から知里アシなる霊能者の霊魂が、自分に乗り移っていると聞かされる。
なんでも入江の妻が自殺したと同時に銀次郎が昏睡状態を脱したと言い、入江の妻の前にも3件、自殺と昏睡からの蘇生が同時に起こっており、全ては初めに亡くなった知里アシの死に端を発しているという。
果たして銀次郎には本当に霊が乗り移っており、5人目の自殺者となってしまうのか。


~感想~
さすがに完結かと思われた銀次郎シリーズが不死鳥のごとく復活した第四弾。
今回はオカルトネタを中心にしつつも全編に渡って推理が繰り広げられる濃密さは相変わらずで、振り返ってみれば一個人が体験するには冗談にしか思えないほど酷い目に遭い続けている銀次郎が、今回も負けず劣らずの酷い目に遭うのももちろん見どころ。
そして最後の最後に現れる黒幕は、似鳥鶏の伊神さんシリーズ(市立シリーズなんてぽっと出の呼称は認めん)の葉山くんと双璧をなすミステリ界二大天然ジゴロの銀次郎が相対するにふさわしい、クレイジーサイコヤンデレとでも言うべき凶悪さで、もはや笑うしかない。

前作の結末で行き着くところまで行ってしまったのに平然と続いているこのシリーズ、いつか銀次郎が死んだのにまだ続いてももう驚くまい。


16.11.21
評価:★★★ 6
コメント