東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

アメリカが焼き付けたショートカット回路のさまざま

2007-11-08 09:04:53 | 社会・経済

一:

中央演算処理装置(CPU、あるいは合理的判断過程)を通らずに、あるフラグが立つと硬直した固定回路(ハード的論理回路)を通過して処理されるように日本というサイボーグは製作されている。回路基板をみるとアメリカ製と印刷されている。

ハード的回路というのはあるインプットに対して決まったアウトプットしか出ないという「鰹節けずり」みたいなものである。一番簡単な論理IC(AND,NANDなど)と抵抗、ダイオード、トランジスターなどで出来ている(要するに鉱石ラジオの製作レベルだ)。

フラグとは一連の呪文でアメリカ、安全保障、憲法第九条など多数ある。それらのフラグがたつと合理的判断は一切停止されて一義的なアウトプットしかでない固定回路にショートカットされる。

この回路の保守点検員は安全保障の専門家、日米関係の専門家と呼ばれている。駅で自動改札機を修理点検している作業服のひとがいるでしょう。あれが安全保障の専門家です。

つづく

二:

アメリカは番犬なのか、御用金強盗か、はたまた臆面もなく毎食飯を四杯食う永遠の居候なのか(日本には、居候三杯目にはそっと出し、という言葉がある)。アフガニスタンやイラクに自衛隊を出したときに、「安全保障の専門家達」はいや日本には北朝鮮問題があるから、ここはアメリカのいうことを聞いてやったほうがいいと言った。なるほど、それも一理あるかな、と思ったわけだ。

ところが、どうだ。アメリカは北朝鮮との関係を改善しようと拙速に動いている。外交、軍事で手詰まりのブッシュが北朝鮮とだけでもなにか成果を残したいとあせっているそうだ。「安全保障の専門家たち」は今回は口をぬぐってなにもいわない。

アメリカが日本の同盟国ならいかなる犠牲をはらっても平壌に攻め込み、拉致被害者を救出すべきだろう。日本には憲法第九条がある。自衛隊には渡洋攻撃する戦力がない。なによりもそれは番犬の役目である。それなら日本も同盟国として信義をもって応じるべきだろう。

あまりにも馬鹿にした態度である。日本憲法の制約は承知の上で日米安全保障条約を結んでいるのだ。第一今の憲法を押し付けたのはアメリカであり、すべて合点承知のスケのうえのことだ。

それでも「安全保障の専門家たち」はインド洋での洋上給油を止めるとアメリカに何をされるか分からないと不安をあおる。

まるでインチキ健康食品の販売だ。霊感商法で壷を売りつけるようなものだ。買わないと悪霊がつくと無知なおばさんを脅かしているカルト教団ではないか。

いちど給油を休止して様子を見よ。イラクからも航空自衛隊を撤退せよ。アメリカが「具体的」にどういう行動に出るか、いやがらせに出るか観察せよ。アメリカが日本になにかすることは間違いないが、アメリカが実際になにをするか観察する必要がある。データが必要なのである。

野球とおなじだ。それから対策を考えればよい。アメリカが日本をどう位置付けているか観察してデータを取れ。アジア選手権の決勝戦とおなじだ。今度は中日落合もいささかデータを取っただろうから、うまくやるだろう。アメリカが取る態度によって日本はアメリカの日本に対する真意を理解し、評価を定めるであろう。

三:

何度もこのブログで言ってきたことだが、オイラはインド洋上給油も自衛隊のイラク派遣も賛成である。同盟国のアメリカが助けてくれ、と言ってきたのだ。嫌も応もない。即諾、快諾するのが渡世の義理、親分の度量だ。しかし、長くても一年までだ。アメリカは軍事強国だ。小国相手の出入りに3ヶ月以上かかるようなことがあってはならない。幅を見て一年というのだ。それ以上てこずるようならこの出入りはタチが悪い。助っ人すべきではない。その辺を見極めるのがかわいい子分(国民)をあずかる親分の器量である。

さて、歴史のおさらいをしよう。学びて時にこれを習う、だったかな楽しいことだ。歴史を鏡にしなければいけない。チャンだかコロだかも言っているじゃないか。チョンも尻馬に乗って騒ぎ立てる。

太平洋海流の話だ。大体150年周期らしい。19世紀は中のコロ、赤鬼ペルリ提督が江戸湾深く侵入して幕府を恫喝した。1854年日本は日米和親条約を強要された。アメリカに自由に商売させろというのだ。20世紀の終わりにも自由化要求とかグローバリズムとか言っていたあれの江戸版だ。

洋上補給要求の原型も江戸時代にあるのだね。18世紀末になると日本近海にアメリカをはじめ欧米各国の船舶が出没して日本を狙いだしたのは。そこで幕府は1825年外国船打ち払い令を出した。外国船が近づいたら大砲をぶっ放して追い払えというわけだ。アメリカ船の目的は西部劇を見ればわかる。日本が弱いとみればバッファローやインディアンと同じように皆殺しにして自分の領土にしようというわけだ。

もうすこし手ごたえがあれば、スペインからカリフォルニア、テキサスやメキシコを強奪したように戦争に訴えようとしたのだ。

1842年アヘン戦争で清国がイギリスに敗れたという情報が届くと、幕府は慌てて外国船打ち払い令を薪水給与令にかえた。燃料と水に限り外国船に補給してもいいというのだ。これが第一次洋上補給令だ。第二次はいわずと知れたインド洋上燃料補給活動だ。

歴史は繰り返すのだよ。お若いの。アメリカの手はいつも同じである。繰り返していいのかな。繰り返さないように知恵を出すことが政治ではないのかな。

四:

歴史の鏡を磨きましょう。前回の続きだ。ペリーが恐喝まがいのいかにも野卑なアメリカらしい方法で日本に不平等条約を押し付けて、細工は流々仕上げにかかろうとしたときである。南北戦争が1861年に始まった。この内戦は65年まで続いて60万人以上の戦病死者を出した。とても外国にちょっかいをだす余裕は戦争で疲弊したアメリカにはなくなった。

日本国内でも幕府の結んだ条約を巡ってもめはじめる。こちらも刻々と内戦の危機が迫ってきた。反幕府勢力の中心に薩摩と長州がなると読んだイギリスは薩摩に近づいた。欧米はどの国も強盗みたいなものだが、接触してみると犯罪人と食い詰め者の巣窟であるアメリカに較べるとずっと紳士的である。薩摩もイギリスに秘密裏に留学生を送ったりして関係を深めたわけだ。

さてイギリスの読みどおり薩摩と長州を中心とする勢力は幕府を倒して新政権を樹立する。アメリカは手をこまねて見るばかり。仲間はずれだ。さて日本は着々と近代化に成功、日本の安全をおびやかす清国を破り、シベリアから南下して日本を圧迫するロシアと正面から対決することになる。

さて徐々に体力の回復したアメリカは日本には手を出せない腹いせに1893年出先のサトウキビ業者が、ハワイ王が日本に接近したことを口実にハワイ王族を拉致して退位させ、アメリカの属領にしてしまう。1898年にはスペインに戦争を吹っかけてフィリピン、グアムを植民地にする。

一方イギリスは世界各地の植民地問題で手一杯というので、ロシアのアジア制圧を阻止するために日英軍事同盟を結ぶ。歴史上それまでにイギリスは何処の国とも軍事同盟を結んだことがない。ここでもイギリスのもくろみは的中して日本は1905年ロシアを破る。

いてもたってもいられななったアメリカは、ロシアと日本の講和条約の仲介を申し出た。アジアの分け前にあずかる手始めに、この辺からとっかかろうとしたのだ。アメリカは計算どおり敗戦国のロシアに有利なように持っていった。

アメリカの次の目的は日英同盟をイギリスに破棄させることである。日英同盟があってはアメリカはアジアでなにも出来ない。イギリスにあの手この手で働きかけること無慮10年ついにイギリスは同盟条約更新を行わず1923年日英同盟は期限切れで失効した。

1923年から1941年までの18年間アメリカはしつこく日本を挑発し続け、ついに戦争に引きずり込んだのである。戦争に勝ったアメリカは万万歳のはずであった。しかし、いつでもそうだがアメリカ人の読みはイギリス人と違って浅い。アメリカは第二の挫折を迎える。第一の挫折が南北戦争だとすれば二回目はなにか。以下次号。

稿を改めました。つづきは「ブーツ オン ピョンヤン」でお楽しみください。