アメリカ下院における「従軍慰安婦非難決議」は大正時代における「排日移民法」、「排日土地法」と同等の意味を持つことになろう。
さて、岡本行夫氏の論文であるが、昨日の産経の全紙面を乗っ取ったような壮観であった。とてもはじめから終わりまでつぶさに読んで論評を加えるような代物ではないのであるが、これら類似の言説はいまやいたる所でマスコミに溢れているわけであり、かつ同一のカテキズムから出たものであるから、かるくその要点を紹介するのも益なきことでもなかろう。
* 本質というか中心的な論点にはまったく論証がない。たとえば自民党伊吹幹事長「テロに対する戦争で連帯しなくてどうする」。そんだけ。テロについて議論するのはかっての「不敬罪」にあたるかのようだ。あるいは、左翼の「憲法第九条」みたいな後光があるかのようだ。あるいは終戦まで「中国大陸からの日本軍の撤退」が禁句であったようなものである。
* 多数の例証を並べたてる。やれヨーロッパ諸国はどうだ、中国は日本の何倍も兵隊を「超危険」な戦場へ派遣している。やたらに並べ立てる「例」で圧倒しようというわけだ。よくもこれだけ集めたものだ。「例」はいくら高く、バベルの塔のように積み重ねても「例」にすぎない。その例が論証するのに適切かどうかが重要である。
* スパイのカテキズムは霊感商法、詐欺商法、ねずみ講商法のマニュアルを写してきたものに相違ない。この商品を買わないと悪霊がつきますよ、いま加入しないと大きな損をしますよ、と相手を催眠状態にかける。証券会社の商法にも似ているね。株式相場がガタガタになればなったで、しつこく電話をかけてきて相場は底をうちました、いま買わないと10年に一度の儲けを逃しますよ、と顧客をしかりつける。