アメリカの主婦が、中国食品に疑問を持ち一年間、中国製品なしで暮らす試みを行ったが不可能だった。このことを本にしたら結構売れているとのことである。その背景には、ペットフードを食猫がべたら死んだとする、その後の一連の報道があるように思える。
中国製品が安全であるとは思わないが、ペットフードを食べた猫が大量に死亡したとすることには疑問を持っている。メラミンがその原因物質とされているようだが、こんな程度のものは、相当大量に長時間食べれば障害があると思われる が、死ぬなどとは到底考えられない。しかも、一時時期に集中している。どこかおかしな報道である。しななかった猫の健康についての報道は見たことがない。
アメリカで中国食品が、今年になって突如大量に輸入差し止めをしたわけでない。ほとんど検査もロクに行われないアメリカで、毎年のように中国製品は数個の摘発を受けている。今年が特別多いわけではない。インドやメキシコ製品も、順調に摘発されている。
こうみると、今回の6月に始まる一連の報道が、何か意図的になされた感じが強い。事実、ペットフードによる猫の死亡については、米国食品医薬局(FDA)でさえ特定できていないと発表している。
アメリカが、氾濫する中国製品の危機感がこの裏にあるように思える。とりわけ、世界最大の農産物輸出国であるアメリカが、中国農産物に席巻される危機感をうだいているためではないだろうか。とりわけ、野菜や果樹の産地であるカルフォルニアでは急先鋒である。
それでは、アメリカの食品が安全かというと、それには大いに疑問が残る。基本的にアメリカは、問題が生じるような食品は売れなくなる・・つまり市場が判断するという考え方である。牛肉の管理体制を見るまでもなく、検査は極めてルーズである。自国の製品を何とか守りたいのであろう。
冷静にこの構図を見ると、かつて日本の自動車の輸入を、貿易赤字の眼鏡としてアメリカが叩きのめしていたことを彷彿させる、今回の出来事である。