天安門事件から、今月4日で20年になる。中国の学生を中心とする民主化運動の、国家による武力鎮圧である。700人以上死者が出ている。中国は、これを反政府運動として武力行使したとして、それ以上の評価をしていない。
学生の主張に理解を示していた胡耀邦総書記が、1月に突如解任され4月に死亡したををきっかけ に、民主化運動が全国各地で起きた。政府は当初これを静観していたが、次第に運動は高まり北京に集結して、大きなうねりになった。
趙紫陽が、学生の中に入り会話をするする事態になり5月失脚することになった。民主化運動はさらに高まり武力制圧をすることになったのである。この背景には、最高権力者の鄧小平存在がある。
中国はこの武力鎮圧をきっかけに、鄧小平が4年後に「南巡講和」を発表している。「白くても黒くても鼠を捕る猫は良い猫だ」と発言して、急速に近代化を進めることになるのである。いわゆる「先豊論」である。これが経済発展のきっかけになった。
中国は、国民の不満を経済成長でこれを封じ込めてきた。日本の経済成長期に犯した過ちを、踏襲しながらも、中国は昨年まで1二桁の成長をしている。
未熟な資本主義体制のまま、市場原理を持ち込んだために、食品偽装や環境問題は置き去りにされたままである。それでいて、自らを発展途上国であり社会主義国家であると規定している。
今年が少なくとも来年中には、中国は日本を追い抜いて世界第2の経済大国になるものと思われる。そのためいくつかの社会矛盾が噴出するものと思われる。
台湾で20周年記念集会が開催されるようであるが、馬英九総統は出席しない。時の指導者、王丹も出席しないようである。趙紫陽の書記だった温家宝が首相に収まっているが、天安門事件の評価に動きはない。
中国は3の大きな問題を抱えている。一つが民主化問題であり、一つが社会格差であり、もう一つが民族問題である。これらを、共産党一党独裁で乗り切れるとは思えない。
これらの問題の中で、最も大きな問題は民主化であろう。経済成長が途切れた時に、それが噴出する。その時は近いのでないかと思われる。
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