そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

今更どうする

2009-06-09 | 原発と再生可能エネルギー

おかしなことがいつの間にかどんどん進んでいって、何とかしようと思っても「今更どうする」と反論されることが多すぎる。その典型が、原発であり減反政策である。

原発は、どう考えても今だけを生き抜くためのものであって、事後のことはいずれどこかで誰かがやるだろうなどという話になる。放射性廃棄物の処理はないに等しく、原発はトイレのない高級マンションといわれる、原発は温暖化に関係ないと喧伝されている。中国で100基以上の建設が計画されている。放射性廃棄物の問題以前の、管理そのものが問われかねない。

原発を反対すると、30%も発電している現状では、止めると電力が足りません、温暖化を進めるのかということになる。日本は、各地方に大型電力会社を建設させた。電力会社は効率優先の大型発電所だけを造り続けた経緯など、今更問うても現状は変化しない。送電の必要ない、地域のエネルギーを利用する小型電力の発電は見向きもしなかった。

減反政策も、農業の本質はもとより、産業としての在り方も等閑にしたまま、作らなければ補助金を出すシステムを30年も営々と続けてきたのである。減反政策がおかしいと言ってみても、現状は高齢化した農民の賃金を保障する手立てはない。減反政策を廃止すると、米価の暴落が起きる。減反政策を今更どうすると問われても、明日の農民を救う手立てすぐには見つけられない。

コメ作りを止めさせて転作を奨励することで、農民の所得保障を考えたのであるが、転作はもとよりコメの消費が伸びず、膨大な耕作放棄地を作り出してしまった。今更減反政策をなくしても農民は救われない。効率的生産で消費形態まで考慮した農業政策を取り組まずに、金で解決しようとした結果今の疲弊した農村がある。

土木事業も同じである。小さな地方都市には、公共土木事業を待ち受けている、土建会社が町にひしめいている。全く使用されないような施設建設に異議を唱えると、すぐに知り合いの生活を息詰まらせることになる。

それぞれの地方で本来の産業を育成することなく、国からの発注を待つ土建会社が乱立する現状に異議を唱えても、今更どうするということになる。土建事業は必要であろうが、あまりにも多すぎる。

元々の形を問うことが先決であるはずなのに、今だけの対策をやり続けてきた結果が、行き場のない状況を産んでいるのである。今更どうしようもないかもしれないが、本質から離れたことはやはり問い続けるべきだと思うのである。

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