2004年にイラクで拘束されその後開放された3人の日本人がいました。その中の女性が、高 遠菜穂子さんです。当時は無事解放されたものの、危険地帯は勝手に言ったのだからと言う「自己責任」という言葉で、相当なバッシングを受けた。本人も相当落ち込んでいたようであるが、現在は活発にイラクの民間支援活動を遣っている。
彼女の講演会、「命に国境はない~イラク戦争とは何だったのか?~」を昨日聞いた。入りしも、イラクで選挙の真っ最中であった。さすがに現地の生の声は迫力と説得力があった。本ブログでも紹介しているように、オランダとイギリスで独立検証委員会を立ち上げて、イラク戦争の検証が始まっている。オランダはすでに終えて、違法行為であると結論している。イギリスも、側近や閣僚たちの忠告を無視したブレア首相の行為が明らかになり、戦争の根拠もほぼ否定され国際法上も違法性が高いとしている。
彼女が拘束されたファルージャは、アメリカによる集中砲火の結果6000人もの死者を出している。遺体には、化学兵器などが使用された痕跡がはっきり残っている。目を背けるようないくつもの写真と動画を彼女は見せてくれた。
詳細な彼女のイラク情勢分析でいくつか核心を得たことがある。フセインとアルカイダは当初から敵対関係であったにもかかわらず、ブッシュがあたかも関係あるがの如く脚色したのである。むしろ、アメリカの侵攻以降に開放された国境から大量のアルカイダが入ってきた。当初は、反アメリカで連携した時期もあったそうであるが、宗派が混在するイラクではシーア派の彼等に反発し始めた。
イラクは元々宗派や民族などの混在する社会であった。シーア派の反逆とこれを比較的少ないスンニー派が、政争の道具としてアルカイダは嫌われていると言うことである。こうした混在・共生社会のイラクには話し合う伝統があった。2005年のマリキ政権下の、アルカイダ系のシャブル内相がスンニー派の無差別殺戮を行ううようになった。
現在イラクには200万人の未亡人がいるそうである。適齢期の女性は深刻な結婚相手不足になっている。2500万人のイラク人の内、国外の難民が50万人、国内の難民が150万人程度になっている。イラク国民の5分に1が難民になっている。
日本はいち早くこの戦争を支持しました。この戦争の違法性ははっきりしているし、大義がなかったことはだれもが認めるところである。日本政府の検証を彼女達は求めている。