アメリカのオバマ大統領が少し盛り返している。一つは、医療制度改革である。歴代の民主党大統領がことごとく成し遂げられず、討ち死にしたいわつきの法案である。オバマは公約に掲げ、一年で成し遂げたことになる。ヒスパニックをはじめとする、貧困層が救われることになる。反対勢力は、財政的裏付けの脆弱さと個人で加入するべきとする、自己責任論者たちである。
もう一つが、核軍縮の合意である。26日に電話会談でオバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領が昨年12月に失効した第1次戦略兵器削減条約(STAAT1)で、両国は合意した。4月8日に、オバマが核廃絶を訴えたプラハで調印することになった。
合意の内容は、戦略核弾頭を2002年に設定された上限より30%少ない1550発に、大陸間弾道弾発射装置・潜水艦発射弾道ミサイル発射装置、閣閉会搭載可能な大型爆撃機などは800発に制限し、アメリカ政府は運搬手段の上限は700発にするとするものである。
核軍縮への小さな動きではあるがこれは評価したいと思う。ロシア側には相当古く使えないものがすでに、相当数あるものと思われアメリカ側の不利な条約との声もあるが、オバマはそれを乗り越えたのである。
ここに来て、総論を打ち上げるだけの大統領が初めて成果というか、実績を具体化したことになる。医療制度改革は、これ自体を社会主義と反対勢力は非難する。然し日本でも、犬猫には医療保険がない。人のように問題は大きく取りあげられることはないが、医療格差はすざまじいものがある。このほど機会があって、犬猫の診療を請け負うことがあった。曲がりなりにも、乳牛には国が半額を負担する制度がある。これを利用しない農家にも、これが基準となっている。
アメリカでの実体を体験したわけではないが、人の場合は保険制度がないことにより深刻な問題になると思われる。社会の安定や発展を考えると、公的な医療保険制度は欠かせない。アメリカは、先進国で唯一制度を持たない国家であった。
とりあえず、今回の二つの成果を評価した。総論から脱しない日本の政府指導者に聞かせたいものである。