鈴木宗男代議士の実刑が確定した。これより収監され、国会議員の資格を失う。地元の人間として感じることが少なくない。鈴木宗男は、根っからのたたき上げの政治家であり、実際よく動く し活動はする。今回の最高裁の棄却による、受託収賄・あっせん収賄など4件の内容については、多分事実であると思われる。
鈴木宗男は、逮捕されるまでと、その後とではまるで異なる政治家になった。その変質は別人を思わせるものがある。権力を見せびらかせ高飛車な恫喝と、事業を強引に持ってくる手法は角栄のミニ版と思われた。中川一郎時代の人脈を巧みに利用して、資金集めも長けたものがある。25年の議員表彰を先般受けている。
杉下千畝を評価したり、中国より早くアフリカに目をやったり、北方領土を巡ってロシアとのパイプを太くしたり、に中央アジアの資源開発に協力するなど、政治的な隙間を見つける能力にも異質なものがある。選挙民の顔と名前を覚える能力には恐れ入る。今回の事件も外務官僚を蔑にしたことによる、内部から告発と思われている。実刑確定についても、アフガニスタンのフリーのカメラマン救出に動いた直後でもあり、何よりも民主党の党首選挙の最中である。小沢への当てつけとも取れなくもない。
彼は一方で、地元での面倒は極端に手早くこまめである。農家の嫁がフィリッピンから就労ビザの関係で来日出来ないと解ると、即刻外務省と掛け合って連れてくる。農家の要求なら何らかの形で話を詰める、はっちゃんやすこさんなどと呼ぶなど、面倒を見てもらった地元の人間は彼を生涯支持し続けるのも解る気がする。それが政治の貧困と、民度の低さの根っこなのであるが、今後とも変わることはないであろう。
鈴木宗男が、自民党を離党後に新党大地を結成して、民主党議員に票を分け合いながら存在感を強めている。外務委員長の要職を獲得したりしている。何よりも、実にこまめに質問主意書を政府に質問している。その内容は多岐にわたり、この男一人で全国会議員の質問主意書の数倍にもなる。ムネオ日記のブロクはこうしたことの極めて意味のある資料になっている。
彼の活動は、北海道はもちろんのこと全国各地に及んでいる。政治資金の集め方も、少額をとにかく広く集めることで評価されようとしている。彼を評価するつもりはないが、へらへらしたタレント議員や、すぐの投げ出すひ弱な世襲議員を見るにつけ、鈴木宗男の意地でも這い上がる根性には敬服する。彼は数年後また国会に返り咲くであろう。