アリゾナ新移民法が4月に成立した。早くからオバマはこの法律に強く反対をしていた。移民法といっても、実態は不法移民を簡単に拘束できるようにする、警察の権限を強化したものである。人 種差別になると民主党が反対しても、当州の民主党は賛成へと傾いている。移民法にたいして全国的には、60%以上の支持があるのも事実である。
現代アメリカの人口比率は、白人に次いでヒスパニック系が黒人人口を上回っている。不法移民のヒスパニック系の人々は、アメリカ人が嫌う低賃金で汚い仕事を引き受けて、アメリカ社会を支えているのも事実である。治安の悪化にも少なからず影響があるのも事実である。メキシコとは1100キロの国境があり、毎日1000人を超す不法侵入があるという。
アリゾナブリューワ知事は、こうしたことを背景に新移民法を成立させている。中間選挙を控え たオバマは、ヒスパニック系住民の票と白人票の比率を読んでいるのであろうか。その一方ではアリゾナの新法成立を受けて、メキシコ州などが同様の動きもある。
法案可決後オバマ大統領は、「この法案は、アメリカ人として我々が守り育ててきた公平の基本的観念を脅かす。また、警官と市民との信頼関係をも同様に脅かすものだ」と同法案を厳しく批判した。
自由で公平の国アメリカは、先日の9.11にコーランを焼こうとする運動や、グランドゼロにイスラム教の礼拝施設の建設反対に、オバマは強く反対姿勢を貫いた。イスラム系住民がアメリカ社会から隔絶されようとしている。宗教的にも民族的にも差別のない公平な社会と自由の国アメリカの本音と建前が交錯している。