今年は冷夏だと気象庁が発表していた。5月の3カ月予報は6~8月は北日本は冷夏となり、それ以南は平年並みになると発表している。6月に入ってそれは修正されたが、それでも猛暑などとは言わなかった。この夏は115年ぶり、早い話が気象観測史上最も暑い夏となっている。
猛暑についても、この高気圧が例年より南下しているとか、この辺りの気温が上がっているためとか、困った時にはエルニーニョなどと、結果についての解説しかされない。これでは、例えば事件が起きて人が刺されても、鋭利なナイフに体が抵抗できず傷つき出血したなどという説明に等しい。事件の説明になっていない。
気象予報士は結果説明しかしない。中長期の予報など、外れたりするとすぐに訂正する。今年のような恥ずかしいことは、これまで何度も繰り返されている。明日の天気なら衛星画像でも気象図でも見れば、素人でもかなりのことが解る。それほどの温暖化、異常気象ということかもしれないが、予報士と付く以上は何らかの責任ある説明が欲しいと思う。
これと全く同じなのが、経済学者である。起きた現象を説明するのが精いっぱいである。現在かつてない円高である。なぜ起きているのか?どうすればいいのか?経済学者たちは勝手に持論に沿った解説するばかりである。本当の経済学というものがあるなら、少なくとも予測ぐらうはするべきではないか。
経済学はかつては、その国の通貨が高くなるのは国力が評価された結果と説明していた。現在の円高は、ドル安であって円高ではないばかりか、日本の経済力が評価されているわけではないと説明する。それではどうするかと質問されると、当分は耐えるしかないと答える始末である。全く相反する意見を述べる経済学者たちの論争は、結果が出ても理由づけにいとまがない。竹中平蔵の言い訳などは、目を覆いたくなるものがある。
予測も重要であるが対策は更に重要な案件のはずである。地球温暖化にしても異論を唱える人もいるが、異常気象であることには変わりない。原因をCO2に求めないならその対策を示すべきである。円高の日本は、結局は高く評価された経済状況と同じである。実体が空洞化しつつある日本経済の、何が評価されているのかを分析するべきと思われるが、円高にはメリットもあるとか主張して、手をこまねいて見ているだけである。
結果を説明するだけなら学問、研究の意味がない。原因を追究し対策を明示してこそ、学問であり研究成果といえるものである。気象予報士も経済学者も、現実を直視して自らの不遜を恥じるべきである。