そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

「内部被ばくした肉牛」と表現しないメディア

2011-07-19 | 原発と再生可能エネルギー

 放射能汚染された稲ワラを食べた肉牛の牛肉から、セシュウムが検001出された。稲ワラを外に置いていたが、それが汚染されたのであるが、その認識がなく、畜産農家が牛に食べさせたのである。

 これには、畜産に係わるものとして、様々な問題が食の側(消費者)から一方的に述べられる不満と矛盾を、肌身に感じている。即ち、

①事故当時はまだ多くの作物が、収穫どころか作付前であった。前年に収穫されたおコメの後処分は、農閑期に行うのが常である。稲ワラを畜産農家に売るための作業は、3月11日以降にでも行われている。現場を知らなかった行政の、周知不徹底で怠慢である。

②外に置いていたので放射能汚染されたのは、稲ワラだけかという問題がある。他の作物も、稲ワラと同様に“外部被ばく”放射能汚染を受けてはいないだろうか? 人はこれを取り込んではいないだろうか? こうした疑問に答えるような、データーを持っていながら、政府は公表しなかった。3カ月経ってから、民間の調査が出るようになってから、徐々にデーターを出してきてきている。

③その結果、放射能汚染された稲ワラは幅広く流通してしまった。が、そうした商品が他にもないだろうか?政府が、『コンラン』が起きないようにと、汚染データーを公表しなかったための被害拡大である。それを風評被害を恐れたと口を拭うのは、行政の怠慢である。牛肉の汚染が解ってからの調査では、風評被害といえない実態が起きてしまっている。

④これから収穫される食物はどうなるのか? 稲ワラが特定されて汚染されたのではない。これから作付されて収穫される野菜やコメや果物は安全なのだろうか? 今年に限った問題ではない。これから先数十年にわたって、収穫される農産物の内部被ばくはどうなるのか、予測がつかない。このことを怖ろしくて誰も口にしない。

⑤放射能汚染された飼料を食べた肉牛は、内部被ばくを起こしている。すなわち、牛の方がもっと直接的な被害者である。確かに公表された数値は、牛肉も稲ワラもそれほど高くはない。しかし、牛の中では一体何が起きているのかを、まず調べることが重要ではいないか。あるいはその追跡調査、観察は人にとっても重要なことである。

⑥肉牛の価格が暴落している。口蹄疫やBSEのように特定された範囲がつかめていない。その結果消費者は、”ヨクワカラン”けどとりあえず牛肉は食べないことにしようということになる。乳牛の最初の分娩001_2には、小さな和牛を付けるとが多い。そのF1の値段が、この数日で半値以下に下がった。酪農家は多大な損失である。その損害は誰が見てくれるのであろう。

 畜産農家は、放射能汚染の実態が解らない以上、二の矢が継げない。いくら頑張れと言っても、消費者に買い控えされるような商品は生産・販売できないからである。これでも原発を推進する人たちは、現場をよく見るべきである。

コメント (1)
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