厚生省が、牛の“レバ刺し”は自粛するようにとの通達を出した。禁止ではないが、肝臓の解体後の感染を危惧してのことである。中途半端な指示である。
牛に大量の穀物が投与されるようになってから、牛の内臓は悲 鳴を上げている。乳牛は肝臓と乳房と消化器官である。消化器官の中でも、第四胃のダメージは大きい。弛緩し潰瘍を起こし変位する。
肉牛では何と言っても肝臓である。屠場で牛の内臓を見た方なら解ると思うが、半分は廃棄されている。牛の生理にあった草の類の給与をうんと減らし、カロリーの高い穀物を給与することで、早く仕上げるのである。
人で言えば、10才ほどであろうか、若い時期に肉にしてしまう。そのため障害が全身に出る前、若い体が頑張っている限界点が、出荷時期となる。
現代の肉牛は多かれ少なかれ、肝膿瘍になっている。肝臓に膿がたまるのである。こうした肝臓は、目視で判断し屠場では廃棄されるが、健康な肝臓など殆どないと言って良いだろう。
変色したり弾力性のなくなった肝臓は、軽度であれば消費者へと送られる。左の写真は乳牛の肝膿瘍である。白いのが膿である。肝臓そのものが、黄色くなって脂肪肝になっているのが解る。(写真はクリックすると大きくなります)
右の写真は、同じく肝膿瘍であるが、肝臓の実質が黒く変色している。うっ血しているのである。うっ血性肝炎である。同じように肝臓が感染して、膿がたまっている。
こうした肝臓は市場には出回らないと思うが、肉牛の場合ほぼ半数が廃棄される。牛たちは懸命の頑張っているが、過酷な飼養環境をこうした肝臓は表している。そうしたことを知っている側からの提案である。牛の肝臓は決して生で食べるべきでない。