東日本大震災で色んなものが、置き去りにされたままになっている。外交もそのひとつであるが、国内的には貧困問題が手つかずのまま深刻さを増している。
2009年の厚労省の調査によると、貧困率は過去最悪の16%になってしまった。国民の6人に1人が112万円以下で生活していることになる。
貧困に対して積極的な(だった?)民主党政権は、初めて貧困率を公表した。その時よりも、0.3%といえども悪化した。
小泉政権が引き起こした、格差社会は貧困層が増加しながらも、景気は良かったのである。企業が労働者に収益を配分せずに、内部保留したためである。
派遣労働者促進や規制緩和は、企業の利益を上げる効果はあったが、非正規労働者を増大させた。
仕事がある時だけ雇用される、登録型派遣労働者は派遣労働者の7割になる。不安定な労働者の存在は社会にとって、様々な不安材料となる。未来への不安、社会発展の不安、治安の不安等などである。
民主党政権は、昨年派遣労働者の一部専門業務を残し、登録型派遣の禁止法案を提出した。その後の動きは一向に見えてこない。
貧困の増大を、リーマンショック以降の経済状況のせいにするのは、日本企業の責任転嫁である。企業が蓄えと株主を優遇した結果である。
最低賃金を受けても、生活保護者の方が上回る社会は歪である。新自由主義者の主張する、経済成長さえすればこうした矛盾や貧困がなくなるというのも、虚構でしかない。
非正規労働者は、厚生年金も健康保険も適用されないことが殆どである。社会的不安の増大につながる。社会保障もままならず、納税もおぼつかない社会は、貧困率の増大によって更に拡大することになる。
小泉改革の傷跡は、無責任と虚偽の公約を連発する民主党政権によって、治癒することなく更に格差を生むことになっている。
政治が果たさなければならない最大の仕事は、富の配分である。最小不幸社会ともいえるのである。