鉢呂吉雄が経済産業大臣を辞任した。就任8日目のことである。不適切な発言があって、辞任したのであるが経緯が良く解らない。
北海道の今金農協の参事だった、田舎者である。大臣就任が余程嬉しかったのだろうが、辞任会見でも歯切れがよくない。
最初に、放射能移す発言を報じたのはフジテレビである。しかし、後ほどの報道では、その場にはフジの記者はいなかったと、鉢呂を含め多くの記者が証言している。伝聞報道である。
内容も「放射能うつしてややる」(東京新聞)「放射能つちゃうぞ」(朝日新聞)「放射能分けてやる」(FNN)「放射能つけてやるという趣旨」(北海道新聞)と、内容に幅がある。
記者会見では、鉢呂は発言内容は記憶にないと述べている。身体をすりつける仕草はしていないと、これは明確に否定している。
大体がこれはオフレコ発言とされている、記者たちの雑談の中の出来事である。普段なら表に出ることもないレベルの出来事である。
「死の町」発言も、原発を推進した経産省のトップの人間としては、相応しくはないが、自民党時代の負の遺産と居直れば済むことである。現実に町は「死の町」になっている。このことだけでは、不適切な発言とはいえない。
鉢呂は農業界の期待を持って受け入れられた。その主体はTPPへの、政府のスタンスが見えない中、鉢呂なら受け入れることはないだろうという期待もあった。
また、鉢呂は原発賛成派が15対3と圧倒的な「総合資源エネルギー調査会」のメンバーに原発反対派を12名送りこむと発言している。これまで原発を推進してきた、経産省としては鉢呂が目障りな存在になることは見えていた。
社会党出身の目障りで、請われれば知事選にも出るお人よしの鉢呂が、このレベルで辞任すると誰かが見込んだのかよく解らないが、経緯も内容も、何か腑に落ちない鉢呂の辞任である。
左のフォトアルバムに<子育てに忙しいタンチョウ>をアップしました。