「メモリーランド」という、フランスが製作したドキュメンタリーを見た。グランドゼロの現状である。
ニューヨー ク世界貿易ビルが2棟あった所は、グランドゼロと呼ばれている。グランドゼロ元々は広島の爆心地の呼び方だったが、9.11以降は貿易ビルの跡地の通称となっている。
10年も経つと色んな現象が起きる。貿易ビルにいて奇跡の脱出をし、英雄扱いされた女性がいたが、全てが嘘であったことが5年後に解った。彼女はニューヨークに当日いなかった。マスコミの持ち上げを楽しんだだけであった。
現在のグランドゼロは、世界各国から悲劇の現場を見に来る人でいっぱいである。家族を亡くした人たちが、ボランティアで説明をする。悲しみを語り、多くの観光客が涙する。
遺影遺品を並べる人。壁やフェンスに想いを張り付ける人。9.11メモリアル、スタジアムに入場するのに、10ドル支払わなければならない。テロ現場を実感する人。再建現場を見に来る人た ち。誰もが一度は見たい、歴史的な現場である。
要するに、2棟の貿易ビル跡は今や”観光地化”しているのである。
9.11メモリアルには、遺品の展示、消防士の遺影、犠牲者の遺影、建設現場を俯瞰する場となっている。
観光客の「テロリストについての説明がないのか?」の質問には、19人のテロリストは展示すると案内人が応えていた。が、なぜテロリストになったかの説明はしないとのことである。
現場で「オサマはオバマを倒した」と喜ぶ人。オサマ・ビンラディンの殺害を狂喜する姿を見ると、アメリカは報復をやっているに過ぎない。
アメリカは、自らの悲劇を報復という形で外に表現し、内には同情という形で多くの人に涙を誘っているのである。
アフガンやイラン一般人がのアメリカ兵の20倍以上の死者になっていることからわかるように、憎しみの連鎖は更に大きくなっているだけである。