北朝鮮が、「ミサイルと称する、事実上の人工衛星の発射に成功した」ようである。国連安保理は、非難決議を中国がブレーキになって採択出来ない。議長声明程度で終わるかもしれない。
北朝鮮の陽動作戦に踊らされ、不意を突かれたような大統領選挙の最中の韓国が、一番動揺している。特に韓国軍は言い訳に終始する会見を行っている。例によって、金正日の命日前に成功し北朝鮮は国威が発揚されたと、大喜びである。
北朝鮮を動かせる国は、中国とアメリカだけである。中国は経済制裁のおかげで属国化した北朝鮮を手放したくない。これまで日本をはじめとする経済制裁は、何の効果もなく北朝鮮国民を苦しめるだけで、中国と北朝鮮指導部をかえって潤す結果になっている。
北朝鮮は竹島を巡っては、当然であるが韓国の主張を支持している。日本の糸は国連とアメリカしかない。僅かに残されていた中国との糸は、尖閣で切れてしまった。オバマ政権になって、6者協議は一度も開かれていない。
やっとたどり着いた日朝の高官協議も、今回の発射でとん挫してしまった。
経済制裁が北朝鮮国民を動かせなかったことを理解すれば、さらなる経済制裁が何の意味も持たないことを理解すべきである。いや、先述のように北朝鮮の一般国民を苦しめ、中国への経済依存が高まることになり、反米・反日思想がさらに深まるだけである。
国力の発揚を軍事力で行うことは、安倍自民党総裁や石原維新の会代表と同レベルである。軍事力=暴力の論理による国際関係を断ち切る絶好の位置に、日本がいたはずである。長年の自民党政権がこれを壊した。
21世紀はこうした力の論理、暴力装置を披瀝し合って自国の優位性を誇る時代でなくなった。アメリカが北朝鮮のミサイル発射に強く反応するのは、自らも力の論理で世界を征服しようとする、同一の思想であるからに他ならない。
北朝鮮は人工衛星の成功で、次なる核開発へと進むことになる。本来なら、あるいは真の社会主義を標榜するなら、国民に自由と食料と情報を与え、豊かにするべきである。そのための協力こそが、北を開かせることになるのである。
政治が権力者の思惑や経済論理で進む時代は終りつつある。一般国民が平和で差別のない社会を目指し、自らの国を社会的に豊かにするしか、北朝鮮=力の論理の終焉させる道はないのである。