パレスチナが独立国家としてではないが、オブザーバー国家として承認された。一般の国家とほぼ同等に、イスラエルの行為を提訴でき、公平な仲介を受けられるようになった。国連総会で11月29日決議されたが、賛成138、反対9、棄権41という圧倒的多数である。日本は賛成票を投じた。このことは評価するべきである。
採択に先立つ演説で、アッバスは出生証明書を下さいと訴えた。イスラエル国家の承認に、アラブの意見を聞かなかった設立の経緯がある。その後の圧倒的な軍事力による、イスラエルの攻撃にさらされ続けてきたことを思うと、当然のことである。
今日のイスラム社会、あるいは中東問題を引き返しのつかない混迷に追い込んだのは、パレスチナ国家の誕生である。第2次世界大戦後を支えたエネルギーの豊富な石油による、富の収奪各国の収奪戦がある。
国家と領土に対する意識あるいは概念すらなかったアラブ地域に、2000年間の思いを持って入植したユダヤ人との間では、領土はもちろんのこと意識や文化・文明の落差に甚だしいものがあった。当然のことである。
本来ならば、国連がこうした仲介をしなければならない。イギリスの三枚舌外交や、第二次大戦後のアメリカの無条件支援がここまで混迷を
引き伸ばした。シオニストたちの一方的な主張ばかりが際立つのも、こうした歴史的な経過の結果である。
パレスチナのハマスなどの存在も、イスラエルの武力制圧による結果である。武力を生むのは武力である。武力抗争は、弱者にひかすことは到底できない。圧倒的な軍事力を持つ方が、譲らなければならない。
アメリカにも同様のことが言えるが、国連決議後はアメリカもイスラエルもこの決定でさらに情勢の悪化が侵攻すると声明を出している。