2003年にブッシュがイラクに大量破壊兵器が存在して、スカッドミサイルはロンドンも攻撃できる。自衛のために、独裁者フセインの支配するイラクに侵攻すると、イギリスとともに攻め入った。確認できないとする。国連案保障理事会の決定を無視しての、ブッシュの起こし戦争である。
ブッシュの戦争にいち早く反応したのが、日本の小泉純一郎である。その後、全く大量破壊兵器など存在しなかったことが判っている。情報もでっち上げだったことも分かっている。
イラク戦争の検証は各国で進められ、米国は2004年に「大量破壊兵器は存在し
なかった」と断定する約500ページの報告書を公表。英国やオランダでも議会を中心に、当時の首相などの証言も含め、厳しい検証が行われた。日本だけが、イラク戦争支持を正当化し続けてきた。
民主党政権になり、岡田外相が早速この戦争の検証を命じた。政権交代の意義を、多くの国民は実感した。その後、岡田は沖縄本土移管の密約なども命じた。それは、忘れかけていた民主党の成果と言える。
このイラク戦争の検証が、12月21日に提出された。わずかA4用紙4枚である。関係各国との関係が損なわれえると、主要部分については全く触れることがない。大量破壊兵器の存在についても、ないと否定できなかったのが、あるとして侵攻した米英を支持する内容になっている。
イラク戦争の検証がこの程度で、封をされる理由ははっきりしている。これから民主党政権が崩壊し、自民党政権に代わるからである。小泉の子飼いの安倍は、外務官僚の期待に応えることだろう。
政治主導を実行できずに、官僚に封じ込まれた民主党の象徴的な出来事である。
イラクに自衛隊を派兵したのは、集団的自衛権の暗黙の了解を国会に取り付けた結果と言える。集団的自衛権とは、勝手な解釈で何処にでも自由に派兵できることである。
この侵攻で、イラク国民は50万人程も殺害され、その10倍以上の人たちが国を離れている。国内は自爆テロと政治暴力の修羅場になって、いまだ終息のめどすら
立っていない。
さらに周辺国家はもちろんのこと、中東の全ての国家は政情不安の暴力の渦に引き込まれている。ブッシュの仕掛けた戦争が原因である。
小泉の集団的自衛権実践による派兵と、戦争加担の責任問題は全く解決されていない。今になって外務官僚が提出したいい加減な「検証」とする文章は、安倍によって破棄され、永遠に問われることはない。